猪苗代湖の利用区分、曖昧なまま ボート事故後も抜本見直し進まず

 会津若松市の猪苗代湖の中田浜で昨年9月、小学生らがプレジャーボートに巻き込まれ3人が死傷した事故で、ボートを運転していた男が今年、逮捕、起訴された。事故を受け、遊泳エリアや水上バイク使用エリアといった湖面の適切な利用区分の見直しが求められるが、抜本的な議論は未着手。来春のレジャーシーズン開始の前に、現時点で対応可能な方策づくりが急がれる。
(会津若松支局・高橋敦)

静かな湖面の猪苗代湖。右端の暫定的な利用区分の看板は来年3月までに付け替えが予定されている

目標物なく

 猪苗代湖の利用ルールは、福島県が1994年に策定した「猪苗代湖水面利活用基本計画」に基づき、基本計画推進協議会の会津若松市、郡山市、猪苗代町の各地域部会が決め、郡山は98年、会津若松は2003年、猪苗代は07年に策定。

 例えば会津若松市の崎川浜では、遊泳エリアの南側に、モーターボートや水上バイク乗り入れ可能な区域を設定。猪苗代町の長浜はモーターボートなどは利用可能だが、カヌーは禁止など細かくルール化されている。だが、中田浜には利用者がエリアを判別できる目標物がなくルールが徹底されている状況ではなかった。

 事故後、中田浜の利用ルールを載せた印刷物に誤りがあったことも判明、今年になって正しい図に改めた。印刷物を作った猪苗代湖水上遭難対策協議会は猪苗代町のエリアだけが管轄で、会津若松、郡山、両エリアの情報共有に課題があったため、県河川計画課が情報共有の役割を担う体制にした。

 事故を受けて福島県や地元関係者などが、利用区分図の看板を中田浜の2カ所に新設、航路の誘導ブイを湖上に置くなどした。

シーズン前に

 中田浜でボートや水上バイクなどの利用者向けの事業を営む中田浜マリーナは事故後、出航届用紙に船舶免許や船舶保険の有無、アルコールチェックなどの項目を追加した。利用区分など安全航行の説明をより丁寧に行っている。

 マリーナの荒井久依社長(55)は「利用区分はあるが、湖上に目標物がなく守れるかどうか難しい。浮標を置き、航路を定めるのが一番の対策」と提言する。

 中田浜は波静かで穏やかなのが特徴。地元の湊町観光協会の小林茂政会長(70)は「低速でレジャーを楽しめる場にすべきだ。利用区分の『航行区域』は速度を出せるという印象があり、適当な文言を考えた上で、利用区分を見直してほしい」と注文する。

 事故防止に向けた利用区分の見直しは、事故原因を調べる国の運輸安全委員会の調査結果を受けて始まる予定だ。結果が出るまでに時間を要するとみられるが、シーズンになれば遊泳客もレジャーボートを楽しむ人も猪苗代湖にやって来る。早急に当面の安全対策を進める必要がある。

 会津若松地域部会事務局の県会津若松建設事務所は24日、関係者を集めた意見交換会を開催。和知聡企画管理部長は「事故の原因が特定されない状態で利用区分の検討には入れず、運輸安全委員会の調査報告を待っている。地元の声を聴き、安全対策を考えたい」と話す。

[猪苗代湖ボート事故]会津若松市の猪苗代湖で昨年9月6日、ライフジャケットを着け湖面に浮かんでいた千葉県野田市の小学生豊田瑛大君=当時(8)=がプレジャーボートにひかれて死亡、瑛大君の母親ら2人が大けがを負った。ボートを操縦していたいわき市の会社役員は逮捕、起訴され、初公判は今月27日に福島地裁で開かれる。

関連タグ

河北新報のメルマガ登録はこちら
先頭に戻る