駆除エゾシカ素材のジーンズ開発 オイカワデニム「命の大切さ思う一本に」

 宮城県気仙沼市のジーンズ製造会社「オイカワデニム」は、北海道で駆除されたエゾシカの毛を使ったジーンズを開発している。同社が手掛けるメカジキの一部を使ったジーンズに続き、動物を衣類として再生させるシリーズの第2弾。社長の及川洋さん(48)は「自然や命の大切さに思いを寄せてもらえる一着になれば」と願いを込める。

開発中のジーンズを手にする及川さん。着ているスタジャンもエゾシカ素材だ=気仙沼市本吉町蔵内のオイカワデニム

 エゾシカの一本一本の毛の内部には空気の層があり、夏は涼しく冬は暖かい特徴があるという。繊維にするとチクチクするのが難点だったが、リサイクルナイロンを組み合わせ触り心地を改善した。

 2014年に商品化の構想を始めた。知人の紹介で北海道の酪農家兼ハンターの男性に会い、道内では年に10万頭以上のエゾシカが駆除されていると教えられたことがきっかけだった。

 さらに調べると、地球温暖化で降雪量が減って草木などの食料が雪に埋もれないため、越冬できる個体が増えたのが駆除数増加の一因だと知った。

 「獣害として悪者にされるのは、そもそも人間が原因なのか」。やるせなさと、命を無駄にしたくないという思いで15年ごろ、開発に着手。約5年かけて衣類にできる紡績技術にたどり着いた。駆除されたシカを革製品にする過程で廃棄されていた毛を利用する流れも確立した。

履き心地良さ追求、今秋発売目指す

 さらに履き心地の良さを追求し、今秋の発売を目指す。定番の青系以外にも、エゾシカをイメージさせる茶色や、あえて毛の質感を際立たせたデザインの展開も模索する。皮を含め全てシカ製のスタジアムジャンパーも開発中だ。

 オイカワデニムは今後もメカジキやエゾシカで培った技術を生かし、自然素材の商品開発に取り組む方針。及川さんは「これらの服ができた背景に想像を巡らせてほしい。ものづくりを通じてメッセージを発信し続けたい」と語る。

関連タグ

河北新報のメルマガ登録はこちら

企画特集

先頭に戻る