<撮れたて とうほく食紀行>雪のような小野川豆もやし、温泉水が育む/米沢

 午前5時、温泉の硫黄が香る小屋の中、暗い白熱球頼みで作業する。

 床を覆うわらをどかすと、もうもうと湯煙が昇った。黄色い豆の束を引き抜く。豆の下から、雪のように白いモヤシが現れた。

 山形県米沢市西部の豪雪地帯にある小野川温泉。豊富な温泉水を利用して育てる「小野川豆もやし」の収穫作業が最盛期を迎えた。

 一般的な水耕栽培でなく、砂を使う。床に「室(むろ)」となる砂を入れた木箱を並べ、種となる大豆をまく。その下に温泉水を通し、真夏並みの室温で育てる。

 およそ1週間、30センチ近くすらりと伸びた純白の豆もやしになる。シャキシャキとした歯応えと、豆の程よい甘みが特徴だ。ビタミンなど栄養価も高い。

 農家の鈴木巌さん(64)は明治時代から栽培を受け継ぐ5代目。「毎年、楽しみに待っている人のために守り続けている」。慈しむように温泉水で根っこの砂を洗い流した。
(写真映像部・小林一成)

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とうほく食紀行

 自然に恵まれた東北は食の宝庫。歴史に育まれた伝統食や、生産者が情熱を傾ける食材もある。カメラで斬新に切り取り、撮れたてをおいしくお届けする。

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