福島の親子支えた仙台のサロン「きびたん’S」が活動10年

 東日本大震災、東京電力福島第1原発事故に伴って福島県内から仙台市内などに移り住んだ乳幼児の親子を支える「福島の親子のサロンきびたん’s」が、5月に活動10年を迎えた。現在は参加対象を福島出身者などにも拡大し、利用者は延べ約1600人。関係者は「福島ならではの不安を抱える人はなお多い」と、サロン継続の必要性を訴える。

福島ゆかりの母子が交流を深める「きびたん’s」=仙台市泉区ののびすく泉中央

交流の場、孤立を防ぐ 避難者以外にも対象拡大

 サロンは月1回、仙台市泉区の市子育てふれあいプラザ「のびすく泉中央」を会場に開かれる。

 「福島の話題を交えた雰囲気が温かく、自分の話を最後までじっくり聞いてもらえるのがうれしい」

 今月10日、1歳の娘と参加した二本松市出身の女性(33)=仙台市宮城野区=が笑顔を見せた。2月に初めて足を運び、今回で3回目になるという。この日のテーマは大型連休の過ごし方や母の日の贈り物。親子で絵本の読み聞かせや手遊びも楽しんだ。

 主催は一般社団法人マザー・ウイング(仙台市)、ふくしま子どもの心のケアセンター(福島市)など。「出身が福島」「福島県内に住んだことがある」といった母親たちが毎月8組ほど集まり、悩みを語らう。参加者がくつろげるよう、子どもは託児経験の豊かなボランティアが見守る。

 同センターからサロン運営などを受託するNPO法人ビーンズふくしま(福島市)の三浦恵美里さん(45)は毎回足を運び、子育て情報を中心に福島の現況を細かく伝えている。

 サロンは2012年5月に「きびたん’sいずみ」の名称で始まり、16年に避難者以外の参加も可能にした。震災当時は学校に通っていた参加者も最近は多いという。

 マザー・ウイング代表理事の小川ゆみさん(53)は「初参加の人にも身近な話題で親しんでもらう工夫をしている。利用者がいる限り続けたい」と語る。

 サロンの運営には国の被災者支援総合交付金を活用してきたが、制度の先行きは見通せない。「震災時に中高生だった世代は気持ちを抑えた経験も多く、出産や子育てを機に心身に変調を来す場合がある」と三浦さん。「親子の孤独、孤立を防ぐ意味でもサロンは欠かせない」と強調する。

 サロンは仙台市外からも参加できる。次回は6月7日午前10時半から。定員8組で申し込みが必要。参加無料。連絡先はのびすく泉中央022(772)7341。

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