宮城・登米のバイオガス発電 「固定買い取り」認定で虚偽申請か

 宮城県登米市東和町に建設予定のバイオガス発電所を巡り、事業者が経済産業省に提出した固定価格買い取り制度(FIT)の認定を求める申請書に、宮城県や登米市から受けた説明とは異なる事実を記載した可能性があることが23日、分かった。東北経済産業局は「記載が事実と異なるのであれば問題だ。事業者に確認する」としている。

「(食品廃棄物が)廃棄物の該当性はない」と記載した申請書。本来の担当課は循環型社会推進課だが環境型社会推進課と書かれている(画像の一部を加工しています)

事業者、県や市の説明と相違

 発電所は食品廃棄物から発生するメタンガスが燃料。予定地周辺には景勝地「三滝堂」があり、環境の変化を懸念する住民らが建設反対を訴えている。

 事業者は2019年12月、食品廃棄物の価値や住民説明会の必要性などを記載した申請書を経産省に提出。河北新報社は情報公開請求で申請書を入手した。

 廃棄物の価値について、申請書は、県循環型社会推進課が「廃棄物の該当性はないと判断した」と明記し、有価物と位置付けたとしている。

 これに対し、同課の酒井健二課長は取材に「有価物と判断したことはない。一般論で話したことをすり替えて記載したのではないか」と指摘。食品廃棄物を有価物か産業廃棄物か一律には判断できず、「産廃収集運搬業の許可申請をするように何度も要請している」と説明した。

 住民に対する事業説明に関しても事実と異なる可能性のある記載があった。申請書は「登米市環境課に確認した」とした上で「住民説明会などを開催し合意を得る規定は(条例などに)ない。説明会の議事録などの提出は不要との見解を得た」といった趣旨が書かれている。

 市環境課の島靖幸課長は、事業者から電話での問い合わせがあったことは認め、「発電所を規制する条例はないが、住民の苦情に配慮して自主的に住民説明会を開いてほしいとお願いした」と話す。「こちらの意図と真逆なことが記載されている」と憤る。

 東北経産局エネルギー対策課の五十嵐圭介課長は「記載事項がFITの条件と合致しているかどうかは確認しているが、内容の真偽は確かめていない。事業者に確認する」と話した。

 河北新報社は事業者に取材を申し入れたが、担当者から「取材は受けない」との回答があった。

敷地面積「1・8倍」、施設配置も 計画大幅変更

 登米市東和町のバイオガス発電所計画は、固定価格買い取り制度(FIT)に認定された当時と、現行計画で面積や施設の配置が大きく変わっている。地元住民らは「これほど多くの変更が認められるのであれば、FIT制度そのものがずさんなのではないか」と疑問や不満を募らせている。

 計画の大幅な変更について、経済産業省は「同じ地番内であれば制度上の問題はない」としている。

 2019年12月提出の申請書では、発電所の敷地面積は5596平方メートルだった。今年5月に市に提出した開発行為に関する書類では9999平方メートルと約1・8倍広くなった。

 敷地内の発電施設の配置も大きく変化。メタンガス発酵槽や発電機などは敷地南側の市道近くに位置していたが、現行案では北側に配置されている。発電施設の面積は公開されていないが、図面で見る限り1・3倍程度拡大していると推測される。

 東北経済産業局の担当者は「FIT制度で重要なのは発電所を建設できる土地が確保されていること。同じ地番なら面積や設備の配置を変更しても問題ない」との見解を示す。

 発電所建設に反対する住民団体「登米市の自然環境を考える会」の担当者は「認定時と現行の計画は全く異なる。これが認められるのは驚きで、制度そのものに問題があるのではないか」と話している。

FIT申請時、敷地南側に配置されていた発電施設
発電施設が北側に変わった現行案

[登米市東和町に建設予定のバイオガス発電所]登米市東和町米谷平倉の山林に建設する。再生可能エネルギー発電を目的とした千葉市の合同会社が固定価格買い取り制度(FIT)を申請し、2020年6月に事業認定された。21年10月、合同会社開発73号(東京)が事業を引き継いだ。
[固定価格買い取り制度]太陽光や風力など再生可能エネルギーの普及を促すため、電力会社が再エネ電源を定額で買い取ることを義務付ける制度。2011年の東日本大震災以降、原発が相次いで運転停止する中、12年7月に始まった。

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