宮城・登米のバイオガス発電 事業者側、再び設計変更

 宮城県登米市東和町に建設予定のバイオガス発電所を巡り、事業者の合同会社開発73号(東京)が、昨年秋に変更したばかりの排水処理施設の設計を再び変更することが25日、分かった。同社は設計の変更を繰り返しているが、大量に発生する排水の具体的な処理方法などは説明していない。市や住民からは計画の実現性を疑う声が相次いでいる。

排水処理方式、文書で市議会に通知   

 発電所は食品廃棄物から発生するメタンガスを燃料とする。開発73号は昨年10月、登米市議会教育民生常任委員会の聞き取り調査で、環境悪化を懸念する住民の要望に応え、食品廃棄物の処理水を川に放流する設計を取りやめ、施設から排水を出さない「無放流方式」に変更すると報告した。

 当時、同社が示した無放流方式は、不純物をろ過する逆浸透膜を使って排水から不純物を取り除いた後、排水を蒸発濃縮装置で蒸発させる設計。委員らには「国内初の方式」とアピールしていた。

 聞き取り調査では、開発73号の担当者が無放流方式の詳しい仕組みを質問され、答えに窮する場面も多かった。

 開発73号は今年4月、再び処理方式を変更し、同常任委に文書で通知した。排水を出さない無放流方式を維持するとした一方、排水をなくす役割を担うはずだった蒸発濃縮装置は、採用しないことにしたという。

 文書では「逆浸透膜設備の適用方法を詳細に検討した結果、蒸発濃縮装置が不要になった」などと記載されている。蒸発濃縮装置を使わない場合、1日数十トン単位の排水が発生するとみられるが、具体的な処理方法には触れていない。

 教育民生常任委員長の武田節夫市議は「事業者の説明を聞いても、処理した水がどこに行くか全く見当がつかない。場当たり的な考えで説明しているのではないかと疑ってしまう」と指摘する。

 登米市の熊谷盛広市長も6日の定例記者会見で「事業者は方向性が見えていないのではないか。排水が問題視されると突然、日本初の方式を出してきたり、それが無理と分かれば、別の方法を出しているように見える」と話した。

バイオガス発電所の予定地。建設計画に住民から疑問の声が上がる=25日、登米市東和町米谷

採算性に疑問の声

 登米市東和町のバイオガス発電計画について、採算性を疑問視する声が上がっている。多くのバイオガス発電所が受け取る廃棄物処理の委託費がない上、「無放流方式」の設備に費用がかさむことが見込まれているためだ。

 複数の発電関係者によると、通常は発電所が食品メーカーなどから産業廃棄物処理の委託費を受け取って食品廃棄物を引き受ける。登米市東和町のバイオガス発電計画は、食品廃棄物を産業廃棄物ではなく有価物とするため、同市の食品メーカーから1日80~100トンを購入する形になる。

 東北地方で稼働するバイオガス発電所の責任者によると、バイオガス発電の売電価格は高く設定されているが、発電施設の初期費用が高く、利幅は少ないという。責任者は「大きな収入源となる廃棄物の処理委託費を受け取らず、逆に購入費を出す方式では収支は相当厳しくなる」とみる。

 事業者の合同会社開発73号の計画では、年間発電量は一般家庭約4000世帯分に当たる1万5000メガワット時を予定する。

 市議会教育民生常任委の中沢宏市議は「発電所の持続性に不安を感じ、大まかな収支を明かすよう事業者に頼んでいるが、企業秘密を理由に応じない。疑問は解消されないままだ」と話した。

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