1日農業バイトアプリ利用広がる 山形のサクランボ収穫、強力な援軍に

 収穫期の労働力不足に悩む山形県のサクランボ生産者の間で、1日単位で農業アルバイトの求人や応募ができるマッチングアプリ「daywork(デイワーク)」の利用が広がっている。求職者が自分の働きたい日を選べる手軽さが好評で、副業目的などでの応募が多いという。生産者は安定的な人手確保につなげようと活用を図っている。(山形総局・奥島ひかる)

慣れた手つき

 アプリは鎌倉インダストリーズ(神奈川県鎌倉市)が開発した。求職者は日付や場所、日給の各条件から求人情報を検索し、ワンクリックで応募できる。農林水産業みらい基金(東京)の補助金で運営されており、無料で利用できる。

 サクランボ収穫が本格化した6月上旬、東根市のサクランボ園で美容師山口裕子さん(33)=天童市=が、脚立の上から慣れた手つきで実をもぎとっていた。

 4月から週1度ほど通っており、このサクランボ園に来るのは7回目。農作業は未経験だったが「無心で集中でき、いい気分転換になる」と話す。

 運営する神町りんご研究所は昨年6月にアプリに登録し、これまでサクランボの作業を中心に60人以上を受け入れた。須藤一元代表は「収穫期はとにかく頭数が必要。大変助かっている」と感謝する。

 一方で「初心者が多いため、毎回作業を教える負担感も否めない」とも。山口さんのようなリピーターを増やしながら利用を続ける考えで、「また来たいと思われるように受け入れ態勢を整えたい」と語る。

副業目的多く

 県内へのアプリ導入は、県や生産者でつくる県農業労働力確保対策実施協議会が昨年6月に開始した。今年5月末までの県内のアプリ登録者は生産者263人、求職者807人。求職者の職業は会社員が36%と最も多く、副業目的での利用が目立つ。

 協議会はこれまでも職業安定所や農協の職業紹介所の求人を充実させるなどしてきたものの、前提となる数週間単位での雇用がハードルだった。

 アプリ活用について、県の担当者は「従来型の求人では応募が難しかった層から利用してもらえている」と分析。「利用者は必ずしも即戦力にはならないが、簡単な作業をさせるなど生産者には上手に使い分けてほしい」と呼びかける。

 利用者の年齢をみると、30歳未満が34%と最多。次いで30代が24%と若年層が大半を占める。関係者は若い世代が農業に関心を寄せたり、将来就農するきっかけになったりすることにも期待している。

若者を直接雇用

 アプリ利用が若者の直接雇用につながった例もある。天童市で果樹園を運営する「やまがたさくらんぼファーム」は、昨年アプリでサクランボの作業をした森山広飛(ひろと)さん(23)と熊谷佑哉さん(23)=共に川崎市=を、4月から収穫期に合わせ4カ月間アルバイト採用する。

 2人は全国を旅して暮らしており、旅先の仕事探しにアプリを使う。森山さんは「従業員が優しく雰囲気が気に入った」とし、「果樹の価値を知ることができて学びも多い」とやりがいを感じている。

 雇用した矢萩美智社長は「2人のように流動的な働き方をしたいという若者は一定数いるのではないか。アプリを足がかりに多様な働き手を確保したい」と意気込む。

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