シジュウカラガンの渡りの経路と判明 大崎・鳴子、風力発電予定地上空

 宮城県大崎市鳴子温泉川渡で計画されている大型風力発電事業を巡り、風車建設予定地の東北大六角牧場の上空が、シジュウカラガンの渡りの重要な経路であることが市民団体の調査で明らかになった。団体は「絶滅寸前から復活したシジュウカラガンへの影響は甚大」として、計画中止を求めている。

 調査したのは(1)「日本雁を保護する会」(宮城県栗原市・呉地正行会長)(2)「NPO田んぼ」(大崎市)(3)「鳴子温泉郷のくらしとこれからを考える会」(同)-の3団体。2月19日~3月10日に川渡上空の渡り鳥を観察した。

日本雁を保護する会などが実施した渡り鳥の市民アセス=2月26日、大崎市鳴子温泉川渡

 観察できた10日間で1万5750羽のガン類が渡り、少なくとも233羽が希少なシジュウカラガンだった。発信器付きのシジュウカラガン1羽が、建設予定地の上空約100メートルを飛んだことも確認。風車は高さ最大200メートルとされ、日本雁を保護する会の呉地さんは衝突の恐れを懸念した。

 調査は交流サイト(SNS)を利用し、3団体以外に宮城、秋田両県の市民も参加し総勢約40人による市民アセスメントになった。大崎市での目撃報告を受け、栗原市で30分後に北上する群れを視認するなどした。

 未解明部分が多かった鳴子地区の渡りのルートに関し、今回は、ガン類のねぐらの化女沼と蕪栗沼(ともに大崎市)から鳴子経由で、秋田県由利本荘市へ向かう新たな経路を発見した。

 呉地さんはシジュウカラガンの保護に40年以上取り組む。6月には、渡り鳥の保全活動が評価され「ラムサール賞」の受賞が発表され、日本雁を保護する会も鳥類保護の功績で「山階賞」を受賞している。

 呉地さんは16日、オンライン報告会で調査結果を説明。東京電力福島第1原発事故の影響が残る六角牧場が、放射性物質の除染をしないまま利用されると指摘した。風車に付けられる航空障害灯が、鳴子温泉の夜の景観に悪影響を及ぼすなどの問題点も挙げた。

 風力発電事業者は現在、国の環境影響評価手続きでアセスを実施中。呉地さんは事業者側の調査が不十分に終わることを懸念し、市民アセスの結果を事業者と共有する考えだ。「3羽まで減ったシジュウカラガンが、約9000羽まで復活した。地域の資源が損なわれる恐れがある」と計画再考を強く求めた。

 六角牧場風力発電事業は、市民風力発電(札幌市)などが出資した事業目的会社が、高さ最大200メートルの最大風車20基を建設する計画。2025年度末の開業を目指している。

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