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山形・飯豊の風雪よけ「かざらい」継承へ、山形大などがワークショップ

 ススキやアシを用いて造る防風雪用の壁「かざらい」の文化が受け継がれる山形県飯豊町で、山形大工学部(山形県米沢市)などの研究グループが体験型ワークショップを開き、伝統の継承を目指している。活動を通じ、かやぶき屋根の民家を含む景観の価値を住民と共有したい考えだ。

町民や大学生らかざらい造りを体験したワークショップ=飯豊町

今は3軒残るだけ

 かざらいは、束ねたススキやアシを木造の骨組みに結び付けた高さ2~3メートルの構造物。11月ごろに建物の前に設けて風雪をしのぎ、翌年春の解体後にかやぶき屋根の材料とする。

 飯豊町は1970年代、町内の約2割に当たる561軒がかやぶき屋根で、かざらいも多く造られた。現在はかやぶき屋根の建物が13軒と少なく、かざらいがあるのは3軒のみだ。

 工学部建築・デザイン学科の浜定史助教(伝統木造構法)らは6日、かざらいの造り方を紹介するワークショップを開催。現在も自宅にかざらいを設ける町内の農業、造園業高橋保さん(75)らが指導し、町民や大学生ら約20人が作業手順や結び付け方を学んだ。

 共同調査する名城大(名古屋市)や筑波大(茨城県つくば市)からも教員や学生が参加。名城大3年林亨祐さん(22)は「町に伝わる知恵を体感した。この文化を残したい」と話した。

 研究グループは来年3月にも町内の景観に関するワークショップを企画する。浜助教は「かざらいを含むかや利用の仕組みは、(飯豊町など)置賜地方独特の建築文化だ。住民に価値を再確認してもらいたい」と話す。

大学院生時代にかやぶき屋根の修理を手伝う久保田さん(浜助教提供)

研究者の久保田健介さん、経験糧にかやぶき職人に「いつかは飯豊で直したい」

 山形県飯豊町の「かざらい」を山形大や筑波大大学院で研究した久保田健介さん(24)は今年春、院を修了後、かやぶき職人の道に進んだ。かやぶき屋根の修理などを手がける広島市の企業で見習いとして働いている。

 新潟市出身の久保田さんは山形大生だった2019年、浜定史助教らの調査に加わり、伝統的民家やかざらいへの関心を高めた。大学院に進んだ後も飯豊町内を調べ、かざらいを造る民家の減少や、製作に用いるススキの栽培が減ったことを論文にまとめた。

 研究する過程で「工具をほとんど使わずに手作業で屋根をふく職人の姿を見て、自分もやってみたいと思った」と振り返る。職人の道を選び、現在は中国・九州地方の現場で経験を積む。

 「いつかは飯豊町のかやぶき屋根を直したい」と目標を語る久保田さん。「作業の楽しさや面白さを、多くの人に伝えられたらいい」と話す。

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