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石巻駅前のたこ焼き屋「くるるん」20余年の歩み終える 12日閉店

店舗前に立つ伊東さん親子

 石巻市鋳銭場のたこ焼き屋「くるるん」が12日に閉店する。伊東健則さん(48)と母親の千恵子さん(75)の親子2人で切り盛りしてきた。新型コロナウイルス禍で来店客が激減、物価高騰も重なり、20余年の歩みを終える。

 同店は1998年ごろアイトピア通りで開業し、2010年12月に現在地に移転した。3カ月後に東日本大震災に見舞われる。津波は店内の高さ約1メートルまで達したが、1カ月後には営業を再開した。

 たこ焼きのほかにも石巻焼きそば、千恵子さんが1週間かけて丹精したイチジクの甘露煮の瓶詰めなどを提供してきた。JR石巻駅前という好立地で、地域の住民や部活帰りの高校生らに親しまれた。

 コロナ禍は地元客と観光客両方の足を遠のかせた。震災の月命日などに合わせて来店していた遠方からの客など、震災後にできた交流も途絶えてしまった。

 物価高で材料費やテイクアウト用容器などの値段も跳ね上がった。コロナで窮する飲食店に対する継続的な支援金もなく、閉店を決めた。健則さんは「震災には反骨精神で立ち向かったが、今度の見えない敵には負けた」と苦笑した。

 当初、閉店は10日を予定していた。平日に都合がつかない常連客から「土日まで開けてほしい」と要望を受け週末まで延ばした。2人は「ここまで支えてもらいありがとうの一言に尽きる」と感謝した。

 開店は午前11時、材料がなくなり次第終了する。

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