復興ハード事業が来月「完結」 避難道全線開通、排水ポンプ場11カ所稼働 石巻市
石巻市の斎藤正美市長は9日の新年度施政方針演説で、東日本大震災の復興ハード事業が3月に「完結」すると述べた。災害時の避難道になる「釜大街道線」「石巻工業港運河線」が全線開通し、冠水対策の排水ポンプ場も全11カ所が稼働する予定で、国の復興財源を活用した事業が完了することを区切りに位置付けた。一方で、下水道整備など災害復旧事業や他の財源を使った震災関連事業はまだ残り、新年度以降も続く。
釜大街道線は全長約3.6キロで、同市大街道東2丁目の「県道石巻女川線」と同市門脇の「県道石巻港インター線」を結ぶ。既に約1.8キロが開通しており、3月はJR貨物の線路と北北上運河を越える2本の橋など両端部の計約1.7キロが開通する。
石巻工業港運河線は全長約1.5キロ。蛇田地区の国道45号と釜地区の臨港道路をつなぐ。未開通だった北北上運河に架けた橋を含む164メートルの区間が3月に通行可能になる。
両道路は津波避難を円滑にする横軸と縦軸となる。市都市計画課の担当者は「避難道として以外でも市内の骨格になる路線。3月中の開通に間に合わせたい」と語った。
排水ポンプ場は震災の地盤沈下で雨水の自然流下が困難になり、市内11カ所で新設を進めてきた。21年度までに7カ所が完成し、本年度は石巻港が昨年7月、渡波が同11月に利用開始。今年3月に残る石巻中央と不動沢が稼働する。
復興交付金や社会資本整備総合交付金(社総交)の復興枠などの復興財源は、震災10年目の20年度が期限だったが、事業規模の大きさや用地取得の難航で完成が間に合わず、2カ年の繰り越し措置で継続していた。
斎藤市長は施政方針で「引き続き(復興の)ソフト事業には配慮しつつ、今後は『地方創生・まちづくり』を強力に推進する」と語り、まちづくりの転換を強調した。
ただ、災害復旧事業や社総交の一般枠を財源とするハード事業はまだ残る。山下、中里両地区を陸橋で結ぶ「七窪蛇田線」は23年度末、中瀬に架ける「東中瀬橋」は24年度末、中瀬公園は25年度末まで工事が続く。
市復興企画部の岡浩部長は「地方創生の取り組みを進めるためにも、まちづくりを次のステージに切り替える時だと考えた。残る事業は通常の補助金を使いながら早期の完成を目指す」と話した。
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