陸上飼育ウニを食べ比べ 餌に北上町産パプリカの葉、田代島の養殖ワカメ 石巻で試食会
石巻市北上町で育てるパプリカの葉と廃棄に回された田代島の養殖ワカメを使って陸上飼育したウニの試食会が2月25日、北上町橋浦の農業生産会社「デ・リーフデ北上」であった。
市などが実用化に向けて取り組む再生可能エネルギーを活用した低コスト型陸上養殖の実証調査で、宮城大が2021年度から取り組んでいる。
今回試食したのは同大の水槽でデ・リーフデ北上が生産するパプリカの葉で育てたウニと、田代島で塩蔵ワカメを塩抜きしたもので育成したウニ。それぞれウニご飯とパスタの具として味わった。
試食を前に、実証調査に取り組む宮城大食産業群の片山亜優准教授がこれまでの成果を報告。ウニは石巻市佐須浜で駆除した身入りの少ないキタムラサキウニを使った。このうちパプリカの葉を生のまま餌にしたウニは13~18度の海水を浄化しながら循環利用する「閉鎖循環式」で育てた。
片山准教授は「2カ月で出荷目安となる身入りとなった。成分を調べると田代島で水を入れ替えながらワカメで育てたウニと比べてうま味成分が多く、逆に苦み成分は少なかった。色味も良く、尿酸値の低下作用がある機能性成分ルテオリンを高い濃度で検出した」とした。
その後、県職員と市職員、デ・リーフデ北上の社員らでウニご飯と、それぞれのウニから作ったしょうゆを調味料に、ウニを絡めたパスタを試食した。
デ・リーフデ北上の鈴木嘉悦郎社長は「両方おいしいが、ワカメで育てたウニは若干苦みが強い。パプリカの方は甘み、うまみとも満足できる出来だ。天然ものと差はないのではないか」と話した。
他にもパプリカの葉を餌にしたウニを高く評価する声が多く「餌の安定供給は可能だし、漁期ではない冬場の需要を掘り起こせる可能性がある」と指摘する人もいた。
宮城大は需要調査や石巻市の民間業者と提携する形で実証栽培を進め、石巻ブランドとしての生産態勢確立を目指す。
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