46年前の人命救助、改めて表彰 津波で感謝状流出、宮城海上保安部が再発行
宮城海上保安部は4日、東日本大震災の津波で流出した人命救助の感謝状を再発行し、受賞者を改めて表彰した。再表彰されたのは、石巻市大街道南1丁目のタクシー運転手早坂美代治さん(78)。漁船「第五宝漁丸」船長だった1977年5月、女川湾内で暗礁に乗り上げ浸水した旅客船から乗員乗客計15人を救助し表彰された。
早坂さんは当時、メロウド漁を終えて女川魚市場に向かう途中、湾内の小名計根(こなばかりね)に底触し浸水した旅客船を発見。海が静かで「助けてくれ」という声を聞き、船を寄せた。「落ち着いて」と声をかけ、全員の救助を終えた途端、船は沈没したという。
震災当時、自宅は石巻市寄磯浜にあり、津波で自宅が流され、妻の美恵子さん=当時(63)=も亡くした。最近、震災の津波で感謝状が流出したことを思い出し、県漁協寄磯前網支所を通じて再発行の希望を伝えていた。
石巻海上保安署であった贈呈式で、安尾博志宮城海上保安部長から改めて感謝状を受け取った早坂さんは「私の宝物であり、感無量。3日に十三回忌の法要を済ませたばかりで、妻も『よくやったね』と声をかけてくれたような気がする」と喜んだ。次女の武山真利さん(50)も美恵子さんの遺影を持って出席した。
保安部が人命救助の感謝状を再発行し再表彰するのは初めて。安尾部長は「一分一秒を争う海の事故で迅速に救助に当たった功績に改めて感謝する」と話した。
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