震災遺構・門脇小、福岡の中学とオンライン防災学習 生徒、市への提言に活用
石巻市震災遺構門脇小(石巻市門脇町4丁目)は2月28日、福岡県中間市中間南中2年生3クラス(102人)とオンラインで防災学習を実施した。門脇小を通じて東日本大震災の出来事や教訓を学び、生徒が中間市の防災への提言をまとめるのに役立ててもらう。中学生は命の重さ、備える意識を共有した。
市震災伝承推進室主幹(学芸員)の高橋広子さん(48)と一般社団法人石巻震災伝承の会代表理事(防災士)の大須武則さん(65)が講師を務めた。
高橋さんは「石巻の震災犠牲者は関連死を含め3464人。414人が行方不明で、3878人の人的被害がある」と語り、門脇小の特徴について「津波火災の痕跡を残す唯一の震災遺構」と説明した。「火の付いた家屋が校舎にぶつかって延焼した。津波火災で亡くなった人がいることを知ってほしい」
震災当時、門脇小の児童らは近くの高台(日和山)に垂直避難したことを挙げ、「2次避難、3次避難の場所を考えておく。複合的避難が発生する意識を持ってほしい」と呼びかけた。
展示館の内容を紹介し「想像し考えることを自分事とする。命と向き合うこと、生きることとは何かを考えてほしい」と述べた。
「津波にどのように備えればいいのか」といった中学生の質問に、高橋さんは「いろいろな視点で津波を考え、さまざまなケースを考えて備えることが大切」と教えた。
中間南中2年生は「自助」「共助」に視点を当て、中学生ができる防災の取り組みを各クラス10項目ずつにまとめた「防災アクション10」を作成し、昨年末に中間市に提出している。
(1)防災バックを準備して定期的に点検する(2)避難後、どのように水と食料を確保するか考える(3)ハザードマップを見て危険な場所を確認しておく(4)災害時には現実を受け止め状況判断をしっかりする-など。
大須さんは防災アクション10を評価し、中学生の質問に答える形で「物を持ち過ぎると避難するのが大変。防災バッグには自分に合った物を考え入れておく」「ハザードマップを超える想定外の災害もあり、正しい情報を取るようにして」「一番大事なことは自分の命を守ること」「想像すること、予測することは正しい判断につながる」などとアドバイスした。
生徒会長の藤井清風さん(14)は「震災の本当の恐ろしさが分かった。常に災害が起きる可能性があり、対応を考えていきたい。記憶を語り継ぐことを防災アクション10に新たに加えられたらいい」と話した。
中間南中2年生はこの日の学びを踏まえ、防災アクション10を修正し完成させる。完成したアクションプランは新年度の中間市防災計画にも記載される。
2年生は昨年11月、震災当時の市渡波中教頭とのオンライン授業で直接当時の様子を質問し交流した。
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