命の大切さ伝えたい 映画「有り、触れた、未来」、監督ら舞台あいさつ 石巻
東日本大震災から10年後の宮城のある街を舞台にした映画「有り、触れた、未来」の舞台あいさつが4日、石巻市茜平4丁目のイオンシネマ石巻で行われ、山本透監督をはじめ、主演の桜庭ななみさん、中学生役の碧山さえさん(宮城県出身)と鶴丸愛莉さんの4人が作品に込めた思いを観客に伝えた。
映画は石巻西高の元校長斎藤幸男さんの著書「生かされて生きる-震災を語り継ぐ」(河北選書)が原案。災害で家族を奪われた少女と生きる勇気を失った父親、事故で恋人を亡くした女性、娘のために末期がんと闘う母親らが、「命」と向き合う姿を力強く描いた群像劇。撮影を全編、石巻市や東松島市など県内で行った。
舞台あいさつで山本監督は、新型コロナウイルス下の閉塞(へいそく)状況で自死が後を絶たない今の社会を憂い「命の大切さを伝えたかった。あの震災から懸命に生き、困難を乗り越えてきたパワーを映画に注いだ。互いに支え合い、声をかけ合うことが、ありふれた未来にしたいという願いを込めた」と語った。
桜庭さんは「私は心の傷が癒えていない中で、ある決意をする女性の役を演じた。宮城という場所は優しく温かかった」と話した。
「有り、触れた、未来」は若手俳優から成るプロデューサーチームが企画から資金集め、製作まで手掛けた自主映画。会場には同チームも駆け付けて、山本監督らと一緒に「生きる力を届けたい」と作品をアピールした。
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