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語り継ごう震災の教訓 「ずっと忘れない」 追悼の光ともす

旧大川小に竹灯籠、当時の児童数と同じ108本

竹あかりとキャンドルが大川小の校庭を照らした

 東日本大震災の津波で児童74人と教職員10人が犠牲になった石巻市旧大川小で11日、竹灯籠に追悼のあかりをともす「大川竹あかり」が開かれた。遺族らでつくる一般社団法人「大川竹あかり」が主催した。

 あかりに使う竹筒は当時の児童数と同じ108本を用意。1月からワークショップを6回実施し、県内外から参加した約500人のボランティアらと制作した。

 竹あかりの点灯に先立ち、「平穏な日々が続きますように」「ずっと忘れません」などの追悼のメッセージが貼られたキャンドルがともされ、大川小の校歌が流された。

 同法人の佐藤和隆代表理事は「人のつながりの大切さや防災を考える機会にしてほしい。一人一人が震災を忘れず、語り継ぐことが大切だ」と話した。

石巻専修大生が追悼行事「竹こもれびナイト」

田中さんが制作した「未来へつなぐこと」をテーマにした竹の作品

 東日本大震災の犠牲者の冥福を祈り、復興を続ける石巻に明かりをともす「竹こもれびナイト2023」が11日、石巻市中央2丁目の市かわまち交流センターと近くの河川堤防であった。石巻専修大経営学部庄子ゼミナールの主催。市の犠牲者3972人と同じ数の発光ダイオード(LED)が輝き、復興と地域活性化などを願った。

 辺りが暗くなった午後6時ごろに点灯。竹灯籠の大小さまざまな光が堤防空間に広がった。来場者は北上川を眺めながら、写真を撮ったり、竹ぽっくりや竹輪投げといった縁日ブースで遊んだりして楽しんだ。

 ゼミでは2018年からイベントを開催。今回は竹あかり制作・演出家の田中利樹さん(福岡県)が作った田代島の猫をイメージした作品や、未来につなぐことをテーマとしたものも公開した。

 経営学部3年の浅野めぐみさん(21)は「震災の風化を防ぎ、会場周辺のにぎわい創出もしたい。希望を持って前に進むため、来年も続けたい」と話した。

 石巻専修大は震災犠牲者への追悼の気持ちを込め、石ノ森萬画館(石巻市中瀬)近くの樹木に小中高生らが果実袋に描いた笑顔のイラストにLEDで光をともす企画も実施した。

1133本の光、キボッチャで追悼式

大型砂像や竹あかりが設置された会場

 東松島市野蒜の防災体験型宿泊施設「KIBOTCHA(キボッチャ)」は11日、敷地内の旧野蒜小体育館跡に献花台を設け、東日本大震災で犠牲になった市民らの追悼式を開いた。

 会場には、砂の彫刻家で市地域おこし協力隊員の保坂俊彦さんが「光」をテーマに制作した大型砂像も設置。震災で死亡・行方不明となった市民と同じ数の1133本の竹筒に明かりをともす「竹あかり」も設けられた。

 午後2時46分に集まった人々が黙とうをささげ、献花台に花を手向けた。日が暮れると竹あかりやろうそくに火がともされ、読経に続いて東松島ふるさと大使のバイオリニスト鹿嶋静さんが演奏を披露した。

 司会を務めたキボッチャの鈴木菫さん(25)は旧野蒜小の卒業生で、当時は中学1年だった。家族は無事だったが東名地区の自宅が全壊し、同級生や親戚を亡くした。

 取り壊された体育館は避難した人たちが亡くなり、遺体安置所にもなった場所。鈴木さんは「キボッチャで働かなければ一生来ることはなかったかもしれない。別れの場所だったけれど多くの人が足を運んでくれて、今は再会の場所にもなりつつある」と話した。

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