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3.11の いま(4・完)浜の漁業 減る担い手、自宅再建機に「陸上がり」続出

担い手が不足する浜の漁業。住環境などの受け入れ態勢が課題だ

 発生から12年を迎える東日本大震災は、いまだ多くの課題を住民や行政、事業者に突き付ける。被災地の現在を歩いた。(大谷佳祐)

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 「昔は岸壁近くで各家庭がメカブやワカメの出荷作業に追われていた。今は活気がなくなる一方だ」

 県漁協雄勝町東部支所運営委員長の大和久男さん(67)=石巻市雄勝町名振=は東日本大震災前の浜の風景を寂しげに思い出す。

<正組合員35%減>

 震災の津波で漁船や漁具が流されるなど大きな打撃を受けた水産業。内陸部への自宅再建をきっかけに海の仕事をやめる「陸上がり」を決めた漁師も多く、担い手不足に拍車がかかった。県漁協によると、今年1月時点の石巻地方の正組合員数は2263人で、震災前から約35%減少した。

 雄勝地区中心部から半島をさらに奥に進んだ東部支所管内はより深刻だ。震災前に304人いた正組合員が3月末には66人まで減る。60代以上で事業規模の小さい漁師が大半だ。大和さんがいる名振東漁港も半数以下に落ち込んだ。

 高齢化や担い手不足の解消に向けた課題として、関係者は安定した仕事量や住環境の確保といった浜の受け入れ態勢の整備を挙げる。

<定年間近に継ぐ>

 家族経営が主の名振東漁港では、後継者は一度、遠洋漁業に就いたり一般企業に勤めたりする場合が多い。定年間近にようやく家業を継ぐため、浜には若手が少ない。

 ワカメの刈り取り作業などでは多くの人手を必要とするが、繁忙期以外に取り組む定置網漁などは家族や地域住民の手伝いで賄え、通年の仕事量は偏る。半島部には民間アパートがなく、災害公営住宅の入居もハードルが高い。

 浜の存続に難題が重なる中、一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン(FJ、石巻市)は2015年、新人漁師を育てる「トリトンプロジェクト」を始めた。沿岸部にシェアハウスを用意し、浜の漁師とマッチングする。

 水産業に縁のない県外出身者も取り込み、これまでに40人以上の漁師が巣立った。正組合員になるケースも出始め、就労の問い合わせは年100件を超える。

<育成に10~15年>

 それでも、FJの担当者は「漁師を育てるには本来、10~15年が必要。震災後に再起した今の主力も60~70代。現役でいるうちに後継者を育て、次の世代に引き継がなければならない」と危機感を強める。

 雄勝町東部支所の浜々には漁業を学びに来たプロジェクト参加者もまだいない。大和さんは「近くに住居がなく、通うには遠過ぎる。通年で浜の仕事を学べる環境が必要だ」と訴える。

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