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いしのまき食探見>みそ 素材生かした風味満点

圧力釜でじっくり熱した大豆。湯気が立ち上る
アグリサービス高勝で熟成中のみそ。甘さと色の濃さが特長だ

 海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。

み そ

 春の訪れを感じるこの頃。フキノトウで「ばっけみそ」を作った方もいるのでは。山菜の芽吹きに合わせ、みそ造りもシーズンを迎えている。

 石巻市中島の丸伊農産は河北地区産の大豆「ミヤギシロメ」とひとめぼれの米こうじ、塩で仕込む。豆は5時間煮てあくを取り、お湯に入れた瞬間に溶け出すきめ細かいみそを造り上げる。

 伊藤さよ子代表(64)が嫁いだ当時は地域で加工器具を共用し各家庭でみそを造っていた。祖母の世代はこうじを使わず、素材を握った「みそ玉」をわらで結び、軒下につるして発酵させていたという。

 現在では加工を外部委託する農家も多い。同市小船越のJAいしのまき河北農産物加工施設は毎年200件ほどの利用があり、総量3トンの大豆を依頼された配合で加工する。

 大豆と精米の割合を5対4を基本に手作業で混ぜ合わせる。最近は一対一で甘く仕上げるのが人気だという。圧力釜で熱した豆は触れば崩れるような軟らかさ。半年から1年寝かせ、滑らかなみそに仕上がる。

 同市桃生町のアグリサービス高勝は同様の施設を利用し、自社で育てたミヤギシロメと甘みの強いササニシキでみそを造る。「素材で勝負している」という一品にリピーターも多く、高橋千代恵取締役(67)の孫たちは「ばあばのみそ汁食べたい」とせがむそう。具材を軟らかくすればみそ汁は離乳食にもなり、幅広い世代が味わえる。

 何げなく日々の食事に用いているみそ。素材に注目してその風味を堪能したい。
(西舘国絵)

<メモ>
 JAいしのまきは桃生、河北両地区にある2施設でみそ加工を行っている。丸伊農産の「手造り上品味噌(みそ)」は石巻市小船越の道の駅「上品の郷」などで、アグリサービス高勝の「甘口千代みそ」は県内のウジエスーパーで販売している。

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