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震災遺族、佐藤さん監督作品に高い関心 体験基に映画制作 各地で反響

上映終了後、トークに臨んだ佐藤さん(右)=19日、せんだいメディアテーク

 石巻市大川地区出身の会社員佐藤そのみさん(26)=東京都=が東日本大震災での体験を基に制作・監督した自主映画「春をかさねて」(2019年)と「あなたの瞳に話せたら」(同)の2本が、震災から十三回忌に当たる今年、全国各地で反響を呼んでいる。

 「春をかさねて」(45分)は中学生の少女を主人公にしたドラマ、「あなたの瞳に話せたら」(29分)はドキュメンタリーで、2本とも日本大学芸術学部映画学科時代に大川地区などで撮影した。震災当時、佐藤さんは大川中2年で、大川小6年だった妹を津波で亡くした。2本の映画には佐藤さん自身の葛藤が刻まれている。

 上映会は2月26日の長野県上田市を皮切りに、3月に入ると岐阜県高山市、東京都と相次いで行われた。練馬区の江古田映画祭でも3日間上映された。上田市と高山市ではそれぞれ約200人が詰めかけた。両市とも震災後、被災地の石巻市との交流を深めてきた縁があり、上映会では地元市民が広報や運営に携わった。

 今月19日は仙台市のせんだいメディアテークで上映会があった。作品を鑑賞した同市の公務員柳谷理紗さん(37)は「つらい体験をした佐藤さんの視点から描かれていて、気持ちを重ね合わせることができた。被災地を訪ねて、そこの空気を感じたいと思った」と語った。

 会場には佐藤さんも駆け付け、上映終了後にトークを行った。

 各地での関心の高さに佐藤さんは「震災から感じたことを形にしておきたいと思い作った。それが各地で温かい反応や素敵(すてき)な言葉をたくさん頂いた」と感謝、その上で「震災当時からのことを追体験してもらえる作品。それぞれの地域の将来への一助になれば」と願った。

<26日、仙台で再上映>

 今後、上映会は26日が午後1時から仙台市市民活動サポートセンター、4月8日は午後1時から東京都千代田区の専修大神田キャンパス、16日は新潟市のクロスパルにいがたで予定されている。

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