新型コロナ5類移行 感染対策、個人や事業者の判断に 医療機関の診療拡大
新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置付けが8日、インフルエンザなどと同じ「5類」に引き下げられた。陽性者や濃厚接触者に求められてきた外出・就業制限など、法律に基づく行政からのさまざまな要請や関与はなくなり、感染対策は個人や事業者の判断に委ねられる。医療提供も限られた医療機関から幅広い医療機関による診療に拡大が図られるなど「通常対応」への転換が図られる。
<本年度中のワクチン接種は公費>
県は42病院(622床)だった入院できる病床を116病院(1010床)に拡大する。外来診療も対象施設が順次拡大される見通し。
医療費は通常の保険診療になるが、9月末までは経過措置として入院費は最大で月2万円、治療薬購入費は全額、それぞれ補助される。ワクチン接種も本年度中は公費で賄う。発熱や受診に関する相談に24時間対応する「受診情報センター」(0120)056203を開設した。
<不安持つ市民も>
感染対策を緩める市民も、不安を持つ市民もいる。3人の子どもを持つ石巻市の女性会社員(42)は「移行で家でのアルコールによる手指消毒はやめた。外出の際はマスクを着用させる」と話す。同市渡波の無職男性(76)は「人混みはまだ怖い」と漏らす。
自己負担額が生じることへの不安の声もある。同市鹿又の団体職員(54)は「ワクチンも3月以降は自己負担になるのではないか。高齢者や家族の多い人は大変だと思う」と話した。
<啓発活動は継続>
石巻地方の各自治体は対策本部会議を開くなどして庁舎や公共施設への消毒液の設置や住民への感染予防の啓発活動継続などを確認した。
東松島市は感染状況に応じて1日に1~3回、防災無線で感染予防対策などを呼びかけてきたが、9日以降は停止する。8日は5類移行と、引き続き手洗い、換気などを心掛けるよう市民に伝えた。
<営業形態、元に戻す>
感染予防に腐心し、思うような営業ができなかった飲食店などでは営業形態を「コロナ前」に戻すところも増えそうだ。
石巻市山下町1丁目でブライダルホール「飛翔閣」とすし割烹(かっぽう)「竹乃浦」を経営する「飛翔閣」は、入店時の手指消毒や検温など基本的な感染対策は継続。客のマスク着用は個人に委ねるが社員は当面着用する。従来の50%に制限していた入店者数は元に戻す。
杉山寛明代表取締役(53)は「人数制限を続けてきた中で移行は追い風。お客さんの気持ちが(宴会をする気分に)戻ってもらえたら」と願う。
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