地域防災計画 石巻市、22施設見直し 「避難困難地域」推定7万8000人 新津波想定に対応
石巻市は11日、県が昨年5月に公表した最大級の津波浸水想定を踏まえた地域防災計画、津波避難計画、津波ハザードマップの改定案を明らかにした。市内の想定浸水域が東日本大震災時の約1.2倍に拡大することから一部の避難場所を見直すほか、要配慮者らの自動車避難の在り方について検討する必要があるとの考えを示した。
津波避難計画では、浸水の恐れがあるとして津波避難施設22カ所の指定を見直す。校庭を含め避難場所としていた向陽小は、最大1.94メートルの浸水が想定されることから、校舎のみを利用する津波避難ビル(避難所)に改める。隣接する蛇田中央公園は避難場所指定を解除する。
県のガイドラインに基づき、高台などまで500メートル以上離れているエリアは避難困難地域に指定する方針。推定居住者数は、市内人口の約57%に当たる約7万8000人に拡大する見込み。
市は津波到達時間を踏まえると、健常者で660メートル~2.7キロの徒歩避難が可能と試算。中学校区ごとに徒歩避難が困難なエリアを抽出し、地域の中で避難の考え方を検討していく。
津波からの避難は交通渋滞による逃げ遅れを防ぐため原則徒歩を維持した一方、要援護者や徒歩避難が困難なエリアの自動車避難の在り方について地域でルールを検討していくことが必要との考えを示した。
津波ハザードマップでは各避難施設の最大津波高や代表地点ごとの津波到達時間、最大津波高などを表示する。スマートフォンやパソコンで自宅周辺の避難施設、浸水想定を確認できるマップも導入する予定。
市は住民との意見交換会を旧市内6カ所と総合支所管内で順次実施し、声を計画に反映する方針。11日に荻浜公民館であった初めての意見交換会には、荻浜地区の行政区長ら11人が出席した。
参加者からは「津波と原発事故が同時に起これば、道路が寸断され避難できない」「地区の避難場所は建物が損壊していて改修が必要」といった意見があった。
地域防災計画と津波避難計画は11月に予定する市総合防災訓練までに改定し、津波ハザードマップは秋ごろに配布する計画。
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