いしのまき食探見>小豆 栄養豊富な甘味の主役
海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。
小 豆
赤飯や和菓子でなじみの深い小豆。近年は生活習慣病の予防・改善、免疫力アップにつながるヘルシーな食材としても注目されている。
石巻市健康推進課の管理栄養士末永さつきさんは「良質なタンパク質や腸内環境を整える食物繊維、貧血を予防する鉄分、高血圧を予防するカリウムや疲労回復に効果のあるビタミンB1、ポリフェノールなどさまざまな栄養素が含まれている」と言う。
日本では昔から親しまれている食材で、ある地方では旧暦の1日と15日に小豆ご飯を食べる習慣があったという。昨今は健康志向もあって、玄米と小豆を一緒にたいた「玄米小豆ご飯」を食卓に出す家庭もある。
小豆で作るあんこは和菓子の主役だ。まんじゅうや大福、おはぎ、どら焼き…。甘くておいしいあんこの用途は広い。
石巻名物「ちゃきん」の専門店「ちゃきん屋和(のどか)」(石巻市八幡町1丁目)を訪ねた。店主の高橋和子さんが「小麦粉と水、砂糖を混ぜた生地を銅板で薄く焼き、冷ました後、手で一つ一つこしあんを包んで作る」と教えてくれた。
「薄い皮とさらさらでちょっと塩気があるあんこ」(高橋さん)が特長。食べてみると、薄皮はほとんど生の食感で、こしあんは甘くなく口の中で溶けていった。
「あんこはパンによく合う」。焼きたて食パン専門店・一本堂石巻あけぼの店(同市あけぼの3丁目)の三束英史代表はこう語る。
手がけるつぶあん入りのパンのうち「抹茶あんこ」(590円)は予約で販売する。抹茶のほんのりとした苦みとあんこの甘さが絶妙にマッチした商品だ。
三束代表は「ベーグルにあんこを入れたり、相性の良い米粉とのコラボ商品を考えたりしたい」と話す。
(浜尾幸朗)
<メモ>
2020年農林業センサスによると、販売を目的とした石巻市の小豆の農業経営体は3経営体で、作付面積は1ヘクタール。石巻産の小豆はいしのまき元気いちば(石巻市中央2丁目)などで扱っている。ちゃきん屋和の連絡先は090(2998)4308、一本堂石巻あけぼの店は0225(98)8571。
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