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12年間振り返る、「震災学」第17号発行 石巻地方の活動など紹介 東北学院大

北上川河口を望む石巻市の街並みが表紙の「震災学」第17号

 東日本大震災の被災地、被災者の多様な課題を発信することを目的にした雑誌「震災学」(東北学院大発行)の第17号が発行された。座談会や寄稿、文学との関係などを通して「震災学」の12年の歩みを、石巻地方の活動状況などを含めて振り返っている。

 北上川の河口を望む石巻市の街並みを表紙にした本号は5章で構成。第1章では<震災学>から<被災学>をテーマにした特別座談会、防災・減災の実践を問いかけたインタビューを掲載。女川町での子どもの運動支援も紹介している。

 第2章では「12年の歩み」を総括。「石巻まちの本棚」の10年間の活動を取り上げている。石巻文化センターなど被災地のミュージアムの歩みからは「不要不急」の仕事が果たす役割について言及している。

 「伝承は可能か」と題した第3章では、大川小があった釜谷地区で受け継がれてきた「大般若巡行」に着目、地域文化の保存の在り方について提言している。

 震災における文学の役割を考えた第4章「震災と文学」では、芥川賞受賞作家の佐藤厚志さんと石沢麻依さんへのインタビューが興味深い。

 第5章は「仙台短編文学賞」特集で、2021年に「海、とても」で第4回仙台短編文学賞大賞を受賞した、女川町出身の森川樹さんが短編「こたえあわせつづく」を寄稿している。

 グラビアでは22年4月に一般公開が始まった石巻市の震災遺構「門脇小」をカラーで収録している。

 「震災学」は12年夏に創刊。今は東日本大震災にとどまらず国内外の自然災害や戦争による被害にまで視点を拡大、多角化。震災学から被災学へと変えつつ、今なすべきことを発信し続けている。

 本号はA5判、258ページ。定価2200円。荒蝦夷(仙台市)発売。

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