女川原発再稼働差し止め請求棄却 原告、失望と不信感漂う 「肩すかしの判決だ」
石巻市民17人が東北電力女川原発2号機(女川町、石巻市)の再稼働の差し止めを求めた裁判で、仙台地裁は原告側の訴えを退けた。判決は事故が起きる具体的危険性を立証していないとして広域避難計画の実効性を判断せず、住民や弁護士からは失望の声が上がった。
原告の住民は疑念が根強い避難計画の検証を司法に求めたが、判決は実効性そのものには一言も触れなかった。
原告団長の原伸雄さん(81)=石巻市鹿又=は閉廷後「実効性に踏み込みもしないのは肩すかしもいいところだ。裁判官への信頼が揺らぐ残念な判決だ」と嘆いた。
弁護団長の小野寺信一弁護士(仙台弁護士会)は記者会見で「避難計画は放射性物質が外部に放出され、住民が逃げなければならない状況になることが大前提。その大前提を立証しない限り中身の議論に入らないというのはおかしい」と強調した。
地裁は審理の中で原告側の申し立てを受け、県に対して裁判所が質問する調査嘱託の一部を採用した。小野寺弁護士は「その時点では計画の中身に踏み込んでくれると思った。その後の原告側の主張、立証を見て方向転換したとしか思えない」といぶかった。
「事故が起きる危険性を立証しろと原告に言うのは、過去の事故を無視している」と憤ったのは原告の佐藤清吾さん(81)=同市北上町=。「計画の不備を承知で再稼働させるなら住民の人格権の否定だ」と訴えた。
東北電は来年2月の再稼働を目指しており、原告側は控訴する方針。原さんは「地裁は計画の実効性の有無を判断することを放棄した。再稼働される前に、高裁でこの判決の取り消しを迫りたい」と語った。
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