事前防災、遺族に学ぶ 県内新任校長88人が研修 石巻・震災遺構 大川小
県教委は8日、東日本大震災の津波で児童・教職員計84人が犠牲になった石巻市の震災遺構「大川小」などで、新任校長向けの学校防災研修会を開いた。参加した88人は児童遺族2人の話に耳を傾け、事前防災の重要性を学んだ。
6年だった次女みずほさん=当時(12)=を亡くした元教員で「大川伝承の会」共同代表の佐藤敏郎さん(59)が旧校舎を案内し、津波到達直前までの約50分間、児童や教職員は校庭にとどまっていたと説明した。
「あの日にちゃんと避難できた他の学校は、事前に逃げる場所を共有できていた。いざという時に自分で判断するのは難しく、平時から備えることが重要だ」と強調した。
市河北総合センターでは、6年だった長女小晴さん=同(12)=を失った石巻市青葉中校長の平塚真一郎さん(56)が講演した。
全国で頻発する大雨などの災害に触れ「沿岸部や内陸部にかかわらず、子どもたちには日本のどこにいても災害が起こると想定する力を身に付けさせないといけない」と訴えた。
参加した県立支援学校岩沼高等学園の菅原紀子校長(54)は「災害は特別な日に起こるのではないと改めて思い、未来のために何ができるのかを考えさせられた」と話した。角田市横倉小の渡辺隆仁校長(53)は「子どもたちの命を守ることを最優先に、よりよい防災態勢を整えられるように学校経営を進めたい」と決意を語った。
県教委は2020年から大川小で新任校長の研修会を開いている。13日には同校や山元町の震災遺構「中浜小」などで新規採用教員向け研修会を開催する。
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