主体的学び、解決能力育む 鹿又小、算数の授業で学び合い 河南東中も実践
石巻市鹿又小(児童308人)が、情報通信技術(ICT)を活用した「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に進める算数の授業を展開し、児童が主体的に学ぶ意欲を高めている。本年度は同市河南東中(生徒308人)でも始め、数学と英語などで学び合いの授業を進めている。「学ぶ楽しさ」を実感し、学習意欲が向上する新しい授業スタイルは、子どもが生涯にわたって学び続ける素地を養い、課題解決能力を育んでいく。
校内研究で算数を取り上げ前年度に始めた鹿又小は、教師主導の一斉授業を構造的に見直し、前半部分は「(単元の)一番大事な考え方を教える」形で進め、授業後半に学習内容を定着させる「適用問題」の時間を25分設定した。
子どもが1人で集中したり、ペアやグループになったりして教科書の問題(A)、算数ドリル(B)、プリントの応用問題(C)、タブレット端末専用のドリル問題(D)-の順で解いていく。
黒板には進度が分かるようにA~Dの区分を設け、児童は問題を解いたら名前が書かれたマグネットを貼っていく。
教師は学び合いを見て回り、過度な説明や教え込みはしない。子どもが学び方を選択でき、分からない時は「教えて」と言える誰一人取り残さない授業が特長だ。
5月22日にあった5年2組(25人)の算数の授業。児童は比例の関係を使った体積の求め方を考え、高さ30センチの時の体積を計算した後、学び合いに入った。1人で集中したり、ペアやグループを組んだりして教科書の問題や算数ドリルを解いていく。
答え合わせにはタブレット端末を利用する。主体的に学び、サポートを求める級友には丁寧に教える。助け合って課題解決を図る授業で、児童は学ぶ楽しさを味わった。
永松大道君(10)は「みんなと助け合ってやったので、自分が思った以上に早くできた。サポートもできた。算数がますます好きになった」と笑顔だった。
浦山正幸校長は「本年度は、みんなで教える時間を取り、誰一人取り残さない授業のシステムをバージョンアップしたい。タブレットは子どもの意欲が高まる魔法の道具」と話す。
前年度の標準学力調査で算数の平均正答率は全学年で全国平均以上、石巻市を10ポイント以上上回った。
浦山校長は「子どもを主役とした授業は学びの意欲が高まり、学力もアップする」と成果を語る。
一方、河南東中は本年度、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に進める授業を始め、数学と英語などで実践する。
この授業スタイルは学習指導要領が求めており、教師主導の一斉授業から脱却し、全ての教科での授業改善が必要とされている。
数学を専攻し指導主事の経験もある浅野良一教頭は「この授業で子どもは学ぶ楽しさを知り、学習意欲が向上する」と話す。
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