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網地島に新しい命、地区内で20年以上ぶり 阿部維吹ちゃん、すくすく

舞さん(左)や卓也さん(右)と、島の豊かな自然の中で過ごす維吹ちゃん

 少子高齢化が進む石巻市の離島、網地島に昨年4月、新しい命が生まれ、すくすくと成長している。網地で両親とペンションを営む阿部卓也さん(43)と舞さん(44)の長男維吹(いぶき)ちゃん(1)。島に二つある集落のうち、網地地区で子どもが生まれたのは20年以上ぶりという。島全体の住民約280人のうち小学生以下は維吹ちゃんを含め3人だけで、島民は「島の宝」と目を細め、成長を見守っている。

 維吹ちゃんは昨年4月23日、石巻赤十字病院(石巻市蛇田)で生まれた。活発な性格で、晴れていれば1日に5、6回は大好きな散歩に出かける。近くの網地白浜海水浴場で砂遊びをしたり、森に入り森林浴を楽しんだりと、豊かな自然の中で元気いっぱいだ。

 網地島出身の卓也さんは「自然に囲まれた最高の環境。3歳になったら釣りに連れていく」と張り切る。

 舞さんの両親は、約30年前に仙台市から島へ移住。仙台に残り、夏だけ訪れていた舞さんと卓也さんが出会い、2000年に結婚した。仙台で暮らしていたが04年にUターンし、舞さんの両親が始めたペンション「晴耕雨読」を一緒にもり立ててきた。

 待望の第1子誕生は、2人をよく知る島民たちにとっても大きな喜びだった。維吹ちゃんが生まれて1カ月後には網地地区の住民ら30人ほどが集い、誕生を祝った。舞さんは「会えば何かと声をかけてくれる。島全体で子育てしてくれている」とほほ笑む。

 島での子育てに苦労や不安はある。妊娠中、舞さんは健診のたびに島から石巻市内の病院へ通い、出産予定日の1カ月前からは大事を取って同市の姉の家に身を寄せた。小児科や小中学校がないこと、同年代の子と接する機会自体が少ないことも懸念材料の一つだ。

 それでも「伸び伸びと健康に成長してくれればそれでいい。大変なことも一緒に乗り越えていければいいかな」と阿部さん夫妻。これからも、網地島で生きていく。

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