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「かほく防災記者」第2回研修 南三陸・震災遺構で避難判断など学ぶ

津波の爪痕が生々しい建物内で、伊藤さん(右)は震災発生直後の避難行動などを説明した

 東日本大震災の教訓を学び、備えに取り組む中学生対象の「かほく防災記者」(三陸河北新報社、河北新報社主催)第3期は石巻会場の第2回研修を行った。県内の研修生4人が、住民らの命を守った南三陸町の民間震災遺構「高野会館」を視察。遺構を所有する南三陸ホテル観洋第1営業次長で防災士の伊藤俊さん(48)に話を聞いた。

 高野会館は海から約200メートルの平地に立つ一部4階建て鉄筋コンクリートの建物で、震災前は総合結婚式場だった。震災が起きた時は3階で芸能発表大会を開催中で、お年寄りが多数参加していた。地震の揺れが収まった後、建物の上階に避難誘導。津波は3階と4階の間の階段に達したが、お年寄り、従業員ら327人と犬2匹は難を逃れた。

 当時、関係者が高台への水平避難ではなく、垂直避難を選んだ理由について、伊藤さんは「高野会館は揺れに強い頑丈な建物だったことと、お年寄りの足では高台まで移動するのは難しいことから上の階への避難を判断した」と説明した。

 「震災では多くのものを奪われ、失ったが、人の力で守れたものもあった」と伊藤さん。「いざというときに最善の判断ができるように、いろんな被災地に足を運び、学習を積み重ねてほしい」と呼びかけた。

 第2回研修は2日にあった。

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