「大川小訪れる契機に」 津波で今も行方不明、巴那さんのランドセルを出張展示 石巻・MEET門脇
東日本大震災から12年4カ月の月命日となった11日、津波で児童・教職員計84人が犠牲になった石巻市旧大川小の当時4年生で、現在も行方が分かっていない鈴木巴那(はな)さん=当時(9)=のランドセルの展示が、同市門脇町5丁目の震災伝承交流施設「MEET門脇」で始まった。
ランドセルはこれまで、市の震災遺構「大川小」の展示施設「大川震災伝承館」で展示していた。市中心部から遠い大川小は市内外の児童生徒らが足を運びにくいため、MEET門脇で公開することで多くの人が大川小を訪れるきっかけにしたいと巴那さんの両親が依頼した。
ランドセルには筆箱や教科書、図書館で借りた本など、巴那さんの日常が詰め込まれたままになっている。宿題の達成状況を記録するカードには、巴那さんの誕生日の3月22日に大きな印が付けてある。
発見時に付いていた泥や汚れは、母方の祖母が数年かけて丁寧に取り除いた。展示の経緯や意図、両親の思いを記したパネルには、巴那さんと6年生だった兄の堅登君=当時(12)=の似顔絵を添えた。
母親の実穂さんは「現地に行けば、写真や映像以上に感じ取れるものがある。震災を経験していない市内の小中学生をはじめ、多くの人に訪れて学んでほしい」と話した。
MEET門脇を運営する公益社団法人3.11メモリアルネットワークの中川政治専務理事は「家族の思いが詰まったランドセルを通して一人一人が考え、次の命を救う判断や行動に生かしてもらいたい」と語った。
ランドセルの展示は年内の予定。要望があれば県内外の他施設での展示も検討するという。
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