石巻川開き祭り、100回目の夏 先人しのび平穏願う
第100回石巻川開き祭り(実行委員会主催)が4日、開幕した。節目を記念し、東日本大震災後では初めて3日間の日程で開催する。新型コロナウイルスの制限がない通常開催は4年ぶり。初日は祭りの由来となった川村孫兵衛(1575~1648年)をたたえる神事や、震災の犠牲者を供養する流灯を実施した。市民らは郷土発展の礎になった人たちをしのび、祭りがある日常の尊さを感じた。最終日まで多彩な催しを繰り広げるステージや広場も開設された。
川開き祭りは北上川改修を指揮して河口に港を開いた川村孫兵衛に感謝し、古里の発展を願う祭典。1916(大正5)年に始まり、戦時中などの中断を経て今年で100回目を迎えた。震災があった2011年は規模を大幅に縮小して開催。20、21年は新型コロナ禍で祭典行事のみだった。
実行委の関係者らは4日午後、孫兵衛を祭る重吉神社や、測量に使った縄を奉納したと言われる縄張神社などを訪れ、神事を執り行った。港町の基礎をつくった先人を供養し、期間中の安全などを祈願した。
水難事故者を慰霊する川施餓鬼と震災の十三回忌法要は住吉公園で実施。日が暮れ始めた午後6時半ごろから、震災犠牲者の名前や復興、平和への願いが書かれた灯籠約4000個を北上川に流した。
係員が船上から灯籠を一つずつ川に浮かべると、赤や青、黄、ピンクなど色とりどりのともしびが川面を照らした。堤防上から眺めた東松島市矢本の管理栄養士千葉郁恵さん(37)は、震災で父が行方不明になったまま。「きれいだなとは思うけれど、複雑な気持ち。早く見つかってほしいし、孫が大きくなったことを伝えたい」と話した。
5日は水上行事「孫兵衛船競漕(きょうそう)」が始まる。第100回の記念事業では、ミュージシャン藤巻亮太さんの特別ライブを中瀬公園で開催。開北橋周辺では航空自衛隊松島基地(東松島市)の「ブルーインパルス」の展示飛行や東京ディズニーリゾート(千葉県浦安市)のドローンショー、約1万6000発を打ち上げる花火大会がある。
屋台やステージ、6日まで
石巻市中央2丁目の市かわまち交流広場では4日、3日間にわたるステージイベントが始まった。隣接する石巻商工会議所の駐車場には屋台が並ぶ「お祭り広場」が開設され、多くの来場者でにぎわった。
イベントに先立ち、実行委会長の青木八州石巻商議所会頭や斎藤正美市長らがテープカットし、祭りの開幕を祝った。
ステージではフラダンスグループや石巻好文館高チアリーディング部の演舞、同校マンドリン部の演奏などが披露され、会場を盛り上げた。お祭り広場には焼きそばや焼き鳥、かき氷、スーパーボールや水ヨーヨーすくいなどの屋台が並び、大勢の家族連れが思い思いに楽しんだ。
家族や友人と訪れた同市向陽小6年の渥美莉桜(りお)さん(11)は「花火が楽しみ。6日の鼓笛隊パレードで指揮を担当するので、少し緊張している」と話した。
ステージでは、5日はアニメソング歌手の遠藤正明さん、影山ヒロノブさんらが出演するライブや、スパリゾートハワイアンズ(いわき市)のフラガール&ファイヤーナイフダンスなどを予定。最終日の6日は同市出身のダンサー武原真也さんら総勢200人によるパフォーマンスなどを実施する。
熱中症対策、冷房のある施設利用を
最高気温30度以上の真夏日が連日続いていることから、石巻市は熱中症対策として、冷房のある公共施設の利用を市民に呼びかけている。
市役所5階の市民サロンや各総合支所、支所、公民館などの共有部分を開放している。6日まで石巻川開き祭りが開かれている中心市街地では、かわまち交流センターやささえあいセンター、石巻中央公民館のロビーなどが利用できる。
市健康推進課の担当者は「暑い場所を避け、こまめに水分や塩分を補給することが重要。外出時の涼みどころとして公共施設を気軽に利用してほしい」と話した。
施設によって休館日や開放時間は異なる。
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