冥福祈り伝承誓う 震災、海難犠牲者を供養 石巻地方
■東松島 水難など含む523人を慰霊
東日本大震災と水難事故の犠牲者を供養する東松島市大曲浜地区の合同慰霊祭が16日、地区内の慰霊碑前で開かれた。
地区住民らでつくる大曲浜区委員会と県漁協矢本支所が主催し、遺族ら約25人が参列。大曲浜、浜須賀両地区の震災犠牲者316人と海難・水難の犠牲者207人を悼んだ。
読経や焼香が行われ、委員会の三浦正信委員長(69)は「大津波襲来の光景は今も脳裏に焼き付いている。慰霊法要を続けることが生かされた私たちの使命。いつでも手を合わせられるよう環境整備を続けたい」とあいさつした。
矢本支所の及川輝明運営委員長(64)は「震災の経験と教訓を後世へ伝えることが責務だ。漁師の浜として知られた大曲浜では海難事故に遭い、帰らぬ人も多い。犠牲者の冥福を祈る」と述べた。
参列した市会計年度任用職員の雫石嘉伸さん(64)=東松島市矢本=は震災で両親と妻、長男を亡くし、当時中学2年だった三女が行方不明のままという。「一生忘れることはできない。生きている限り手を合わせ続けたい」と話した。
合同慰霊祭は震災の慰霊碑が完成した2012年から毎年実施している。
■女川 参列者、海に向かって合掌
海難事故の犠牲者を供養する「海難殉難者慰霊祭」が16日、女川町海岸広場であった。参列者は海に向かって手を合わせ、犠牲者の霊を慰めた。
町や商工、観光団体の関係者らでつくる「おながわ四季のまつり実行委員会」が主催。町や町議会、町商工会の関係者ら14人が出席した。同町鷲神浜の妙照寺の鈴木錬昭さんら5人の住職が読経した。参列者は読経に合わせ焼香し、冥福を祈った。
須田善明町長は「漁は自然相手。仕事の中で命を失われる人がいる。亡くなられた人たちの慰霊とともに、これからの漁期を無事に終えてほしいと願い焼香した」と話した。
参列した一般社団法人女川町観光協会の持田耕明代表理事は「(海難犠牲者は)海に落ち、冷たく苦しかっただろうと想像し、胸が詰まった。安らかに眠ってほしい」と語った。
実行委によると、町内ではこの1年間、海難事故による犠牲者はいなかった。
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