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日活の活況、再び 「狂った果実」上映 キネマティカで石巻名画座

昭和時代の日活パールを映しながら、父が経営していた頃の思い出を語る七重さん(右)と本庄さん

 石巻名画座による第3回上映会が8月26、27の両日、石巻市中央1丁目のシアターキネマティカであり、日活作品「狂った果実」(1956年)が上映された。往年の映画ファンらが詰めかけ、キネマティカの隣にあった日活パール(2017年閉館)が全盛だった昭和の活気がよみがえった。

 「狂った果実」は石原裕次郎が初主演した青春映画で、2日間で計7回上映。初日の1回目終了後にトークがあり、日活パール支配人だった故清野太兵衛さんの長女七重さんが、当時の日活パールや日活俳優の写真をスクリーンに映しながら思い出話を語った。

 七重さんは「吉永小百合さんの人気がすごく、正月映画『光る海』(1963年)は観客が入りきれないほどで、通りにズラッと人が並んだ」「川開き祭りでは日活の俳優がパレードに必ず参加し、サインボールを投げた。新人だった松原智恵子さんや山内賢さん、それに渡哲也さんも来た」と懐かしそうに振り返った。

 初日の1回目を見た近くの高橋博美さん(71)は「今見ても石原裕次郎は格好良かった。ほかの日活作品も見たい」と話した。

 場内には裕次郎の写真集や代表作「嵐を呼ぶ男」のポスターなども展示された。いずれも裕次郎の大ファンで4年前に亡くなった蛇田の男性のコレクション。遺族が「市民に見てもらえたら」と石巻名画座に寄贈した。

 キネマティカの外壁には市内の老舗の看板店が手描きで制作した「狂った果実」の絵看板(縦90センチ、横1メートル30センチ)が飾られ、記念写真を撮るファンがいた。

 石巻名画座の代表本庄雅之さん(64)は「石巻名画座で上映する最初の日本映画は日活作品と決めていた。実現できてうれしい」と喜んだ。

 第4回は10月28、29日。上映作品は香港映画「誰かがあなたを愛してる」(87年)。

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