処理水海洋放出後、石巻魚市場に初水揚げ 関係者「普段通り」 中国の禁輸を懸念
石巻魚市場に4日、夏季休業(7、8月)を経て、今月漁を再開した底引き網船が入港した。東京電力福島第1原発にたまる処理水の海洋放出開始後、初めてで、宮城県沖で取られた魚が続々と水揚げされた。取引金額は上々で、放出による影響は見られなかった。
魚市場には沖合、近海など約40隻が入り、スルメイカ39トンやサバ142トンなど計約200トンを水揚げ。
主な価格はスルメイカ(沖合)が1キロ780~765円、サバは1キロ90円台で例年とほぼ変わらない値が付けられた。
スルメイカを購入した盛信冷凍庫(石巻市魚町1丁目)の臼井泰仁常務(39)は「海洋放出後の取引に特に不安はなく、市場も普段通りの数量や金額だった。自社商品が石巻市のふるさと納税の返礼品になっていて、県外からの声援も届く。しっかりとした仕事で応えていきたい」と語った。
石巻魚市場によると、今のところ海洋放出による価格の下落は見られないが、中国での消費が目立つワタリガニやナマコは今後、影響が出る可能性があるという。
特に11月に漁が解禁されるナマコは1キロ当たり4000円の値が付くこともある。同魚市場では年間でおよそ100トン、3億円ほどを取引している。
佐々木茂樹社長は「国内で消費されるものは問題ないが、国には中国との関係を改善し、禁輸措置を解除してもらいたい。併せて国内消費を一層喚起する対策も取り、水産物の消費・流通を円滑に進められるようにしてほしい」と語った。
関連リンク
- ・処理水放出で取引価格下落 水産関係者、石巻市長に訴え 設備投資への支援要望(2023年9月2日)
- ・雄勝の水平線、防潮堤に 新壁画の下地塗り、地元の子どもらが体験 石巻
- ・かほく杯県少年少女柔道大会、4年ぶりの声援 渡波と木村柔道館が連覇
- ・子ども食堂運営を支援 トラック協石巻支部青年部会、東松島6団体に現金寄付
- ・女川町議会9月定例会 須田氏、町長選出馬表明「幸せ実感できる町に」