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福島第1原発処理水、トラブルなく放出 東電、風評被害などの相談窓口設置へ

 東京電力福島第1原発処理水の海洋放出で、東電は11日、初回分約7800トンの放出を完了したと発表した。8月24日の開始以来、トラブルなどで中断することなく計画通りに終えた。周辺海域で海水や魚の放射性物質トリチウムの濃度に異常は確認されず、2回目の放出準備に入る。

 東電によると10日午後、タンクから処理水を放出工程に運ぶ配管の移送量が予定していた約7800トンに達し、移送を停止。11日正午過ぎ、配管内の処理水を真水で押し流して放出を完了した。

 12日以降、3週間程度かけて設備全体を点検し手順を再検討する。早ければ9月末に2回目の放出を始める見込みで、東電は「引き続き最大限の緊張感を持って取り組む」と説明する。

 東電、環境省、水産庁、福島県などは海域モニタリングを継続し、海水や魚のトリチウムを分析する。これまでの最高値は、8月31日に東電が放出口近くで採取した海水から検出した1リットル当たり10ベクレルだった。

 本年度は、処理水3万1200トンを7800トンずつ4回に分けて放出する計画。汚染水は日々増え続けているため、8月末時点で約134万トンを保管する処理水の削減量は、タンク10基分の約1万1200トンにとどまる見通し。

石巻に専用窓口、開設時期などは未定

 東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を巡り、東京電力は風評被害などの相談に応じる専用窓口を石巻市に設けることを明らかにした。6日あった地元の水産関係者らとの意見交換会で伝えた。

 会議は石巻魚市場であり、県水産物流通対策協議会石巻支部の布施三郎支部長や、魚市場の佐々木茂樹社長、国会議員や県議ら計38人が出席した。非公開で行われ、東電が放出後の海水や水産物のトリチウム濃度は検出限界値を下回っていることなどを報告した。

 漁業者や水産加工、流通の関係者からは「すでに風評被害が発生している」とする訴えをはじめ、速やかな賠償、従業員の安定雇用につながる補償を求める意見が出された。

 相談窓口の具体的な開設時期や場所などは未定。布施支部長は「窓口が地元にあることで、現場で起きていることをしっかり認識してもらえる。企業が存続し、働き手も地域を離れることがないようにするため、実情に合った対応を期待する」と話した。

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