業者「配布済み」市民「届いてない」仙台市のひきこもり調査票はどこへ? 真相分からず希望者に再配布へ
仙台市が約40万世帯を対象にした初のひきこもり実態調査で、市民から「調査票が届かない」との連絡が相次いでいることが10日、分かった。市職員に実施した聞き取りでも3割に届いていないという。市が配布を委託した業者に確認したところ、業者は「確実に配り終えた」と主張し、不配が続出する真相の解明に至っていない。
市障害者支援課によると、調査票の配布は郵便ポストに入れる方式で8月に始まり、9月末に終わる予定だった。市民からの不配の連絡は今月10日午後5時時点で27件寄せられている。
同課の職員に届いていない事例もあったことから、市障害福祉部などの職員がいる145世帯を調べた結果、9月27日時点で44世帯(30・3%)が「届いていない」と答えた。
市が委託業者に問い合わせると、業者は配布漏れを否定した上で「ポスティングでは受け取ったことを忘れたり、気付かずに捨てたりする事例はある」と説明したという。
市は善後策として、業者に未配達の申し出があった世帯への再配布と世帯周辺への配布状況の聞き取りを要請。今月6日からは市ホームページ上で、調査への回答や調査票再配布の申し込みを受け付けている。
調査は郡和子市長が掲げる「誰一人取り残さない社会の実現」の一環。家族以外との交流がほとんどないひきこもり状態の人数、当事者の日常の不安や悩みを把握し、支援策の充実に生かす。市は15~64歳の市民が暮らす全世帯に、11月末までの回答を求めている。
配布業務の委託事業費は1通当たり27円で、最大約1200万円を見込む。市の担当者は「重要な調査で届かないことはあってはならない。一人でも多くの声を集められるよう対応を検討する」と説明する。
(この記事は「読者とともに 特別報道室」に寄せられた情報を基に取材しました)
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