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仙台市バスにあおられ恐怖 市民被害訴えに交通局謝罪

男性の車に取り付けていた後方用ドライブレコーダーの画像。市バスが間近に迫る

 「後ろから来た仙台市バスに車間距離を詰められ、恐怖を感じた」。宮城野区の男性(58)から、あおり運転の被害を訴える声が「読者とともに 特別報道室」に寄せられた。男性提供のドライブレコーダーを確認すると、回送中の市バスが急激に迫り、男性運転手が約2分間にわたって暴言を吐きながらあおり続ける様子が記録されていた。

発車時刻に遅れ焦りか ドラレコに怒鳴り続ける様子も

 男性によると7月27日午前10時ごろ、買い物などを終えて車で帰宅途中、同区の県道から自宅近くの市道に入った所で後続の市バスに詰め寄られた。バスが方向転換を行う回転場までの約1キロ、あおり運転を受けたという。

 ドライブレコーダーの映像では、市バスは県道走行時から猛スピードで男性の車に急接近。道路中央のゼブラゾーン(導流帯)を使い、威圧するかのように車体を振ったように見える。

 男性は回転場の前で車を止め、ナンバープレートを撮影した上で説明を求めたが、運転手は応じなかった。市バスはその後、回転場に入り、向かい側の停留所に停車。東北大病院(青葉区)方面の始発を待つ客を乗せて発進した。

 男性は「県道から市道に曲がってから、進行方向の信号が赤だったので低速で走行したら、あり得ないほどバスが近づいてきた。あおられ、クラクションまで鳴らされ、怖かった」と振り返る。時刻表では市バスが停留所に着いた時点で発車時刻を過ぎており、遅延の焦りがあおり運転につながったとみる。

 男性が苦情を申し立てると、市交通局は7日付の文書で「乗務員の運転操作で不快な思いをかけた」と謝罪。男性の情報公開請求に応じて1週間後に開示したドライブレコーダーには、運転手が「早く行け、この野郎」「何やってんの、こいつやあ!」などと怒鳴り続ける様子が記録され、県道走行時に制限速度を14キロ超過していたことも判明した。

 市交通局の和泉政博業務課長は「運転手は『意図的に近づいたのではない。ゼブラゾーンに入ったのも男性の車の前に何かあるか見ようとした』と話しているが、言い訳になる。始発時刻に遅れそうで、イライラしてあおったと受け取られても仕方がない」と釈明。業務委託先の宮城交通(泉区)を通じ、運転手を厳重指導したことを明らかにした。

 あおり運転は神奈川県大井町の東名高速道路で2017年に起きた夫婦死亡事故を受け、20年の改正道交法の施行で厳罰化された。(桜田賢一)

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