特別全国障害者スポーツ大会、鹿児島で28日開幕 石巻地方から2選手出場
28日から鹿児島県で開かれる特別全国障害者スポーツ大会に石巻地方から2選手が出場する。石巻視覚障害者福祉協会会員の南伸子さん(72)=石巻市蛇田=が「サウンドテーブルテニス(STT)」競技、石巻好文館高3年の阿部和香さん(17)=東松島市矢本=が陸上競技の1500メートルと100メートルに挑戦する。
石巻・南伸子さん、6度目の挑戦「楽しめるよう頑張る」
視力が弱く、約20年前にSTTを始めた。大会へは6度目の挑戦で「楽しめるように頑張る。やるだけやる」と意気込む。
STTは視覚障害者向けに日本で考案された卓球。音の鳴る鉄球が4個入ったピンポン球と、ラバーを貼らない木のラケットで戦う。
大会ではアイマスクなどを着用する。台の大きさは一般と同じだが、サイドフレームの一部とエンドフレームに球落下防止用の枠が取り付けられている。台から4・2センチ上げた中央のネットの下に球を転がして打ち合う。
練習は週2回ほど。石巻視覚障害者福祉協会がSTT用の台を置く、石巻市不動町1丁目の福祉施設「明笑館」や仙台市の施設で打ち込んでいる。
明笑館で同協会の会員2人と練習した日は、試合形式で1時間ほど汗を流した。「卓球台の前では思いきり動け、対等に戦える。年を取ってもできるのがSTTの良いところ。目が見える人も見えない人も体験して楽しさを知ってほしい」と語る。
大会には県障害者スポーツ指導者協議会に所属し、STT公認審判員資格を持つ西村和佳子さん(45)=石巻市=がコーチとして一緒に出場する。2人がタッグを組むのは10年ぶり。西村さんは、前回一緒に戦ったからこそできるアドバイスを武器に支える。
「大会に向けて仕上がっている。落ち着いてプレーすれば大丈夫。勝てるようにサポートする。楽しく良い思い出にしたい」と話している。
東松島・阿部和香さん、2種目に挑戦「大会記録更新したい」
大会には2年連続出場。同じ2種目に挑戦する。昨年は1500メートルで、5分59秒34の大会新記録をたたき出した。「今年は記録を更新できるように頑張りたい」と練習に熱を入れる。
中学で陸上を始めた。生まれつき左腕がなく、障害者の大会に出場し始めたときは「健常者と区別されるんだ」と落ち込んだときもあったという。しかし競技を通して陸上が好きな人や仲間に出会い「私と接することで、自分以外の障害者と出会ったときのためになる」と前向きになれた。
石巻好文館高では陸上部に所属し、今年5月の大会を機に引退。大学の受験勉強と並行して自主練習に励む。毎朝5時に起き、30分のジョギングや走り出しの練習をする。「時間は取れないがコツコツと続けていく」と大会直前まで走りに磨きをかける。
高校最後の大会に「応援してくれる部員や顧問の先生、家族に感謝の気持ちを記録で伝えたい」と熱意を語った。
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