秋の褒章 道一筋、公益貢献に光 石巻地方3人の喜びの声
2023年秋の褒章受章者が2日付で発表された。石巻地方では、その道一筋に励んだ人への黄綬褒章に2人、公益に貢献した人への藍綬褒章に1人が選ばれた。喜びの声を聞いた。
黄綬褒章(業務精励・造船関連業)
■元宮城ヤンマー社長・浅野亨さん(81)=石巻市日和が丘1丁目
会長時代を含め代表取締役を2021年まで計44年間務め、船舶用エンジンの販売、修理事業などで水産都市を支えてきた。「地域と人を大切にしてきた。顧客、社員に恵まれた」と受章を感謝する。
東日本大震災など多くの苦難があった。200カイリ規制では水産、造船などの地場産業が土台から崩された。「経営に順風満帆はあり得ない。常に変化を恐れずやってきた」と語る。
地球温暖化による不漁などで基幹産業の水産業を取り巻く環境は厳しさを増す。「大きな変革期にある。経験を生かし、今後も側面からバックアップしたい」
石巻商工会議所の会頭も19年まで5期15年間務め、地域経済の復興をリードした。
黄綬褒章(業務精励・金融業)
■石巻商工信用組合理事長・梶谷啓二さん(63)=石巻市穀町
「とても驚いたが大変光栄に思う。私個人の受章ではなく、組合員や地域の皆さま、役職員に支えられたおかげ」と感謝する。
1978年に入組し、45年にわたり地域経済の発展に尽力してきた。東日本大震災では自身も被災したが、現金の払い出し対応に奔走し、復興支援を最優先に取り組んだ。理事長に就いた2020年は新型コロナウイルス感染拡大が始まった頃。多くの事業者が厳しい経営を強いられ、資金繰りなどで支援を続けた。
困難な時こそ地域を支える使命があると考える。「信用組合の基本理念は相互扶助。地域とともに生きる金融機関として信頼される信用組合であり続けるため、これからも一層努力したい」と思いを新たにする。
藍綬褒章(更生保護功績)
■保護司・小野崎秀通さん(76)=石巻市渡波
1990年から延べ約30年間、罪を犯した人や非行少年と向き合い、立ち直りを手助けしてきた。
「更生するに足る手伝いができただろうか」。担当した対象者の中には再び罪を犯す人、心を病んで自ら命を絶つ人もいた。「じくじたる思いがある」と受章に複雑な思いを明かす。
対象者との面接では、相手が身構えず心をほぐして話せるように心がけてきた。保護期間を終えて別れる瞬間にやりがいを感じてきたという。「とにかく事故なく、誘惑に負けず頑張ってほしいと願っている」
罪を犯した人は、生い立ちや環境によって社会悪に引き寄せられてしまったと考える。犯罪に手を染める前に、互いに助け合える社会を望む。
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