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特集 > 秋の親子見学会 女川の恵みと復興、体感

 女川町の東日本大震災からの復興状況を確認し、魅力を体全体で感じてもらう「石巻かほく 女川復興 秋の親子見学会」(三陸河北新報社主催、東北電力協賛)が10月中旬にあり、石巻、東松島両市から13組の小学生と保護者、計26人が参加した。快晴の下、女川の自然を体感。産業、復興への取り組み、快適な暮らしの土台となる電気を作る仕組みを学ぶなど、充実した一日を過ごした。

湾内クルージング、ウミネコ餌やり

ウミネコに餌をやる子どもたち

<潮風感じて産業間近に>

 女川港からのクルージングでは、船に乗り込み、女川原子力発電所や本土と出島をつなぐ架橋工事を洋上から見学した。ホヤやホタテの養殖いかだなどの近くを進み、豊かな海を生かした産業を間近で感じた。

 金華山航路などを運航する潮プランニングの持田耕明さんから、洋上で震災の地震に遭い、沖合に逃げた被災体験などを聞いた。

 波の穏やかな堤防の内側では、参加者がウミネコへの餌やり体験を楽しんだ。船員が「海上にいくつかえびせんべいを投げ、ウミネコに餌があると認識させると手から食べてくれる」とアドバイス。ウミネコが猛スピードで滑空し手から餌を器用に奪っていくと、子どもたちは歓声を上げていた。

 石巻市須江小5年の萬代(ばんだい)悠真君(11)は「初めて船に乗った。波で船が揺れながら、ウミネコの餌やりが楽しかった」と話した。

かまぼこ工場見学、手焼き体験  

焼き上がった笹かまぼこを頬張る親子

<歴史を思い、熱々を試食>

 女川町浦宿浜にある水産加工「高政」では、手焼きかまぼこ体験や工場見学をした。

 従業員から「『かまぼこ』の語源は形が似ている『ガマの穂』で900年も昔から親しまれている」「スケトウダラがベースのすり身を原料に使っている」との説明を受けた。五目揚げかまぼこなどを試食し、豊かな風味や弾力のある食感を楽しんだ。

 手焼き体験では竹串に刺した笹かまぼこを焼き網に並べ、熱で徐々に膨らみ、こんがり焼き色が付いていく様子を興味深そうに観察した。焼きたてのかまぼこを頬張り、海の幸を味わった。レーンに乗ったかまぼこが次々に自動で包装されていく作業工程を見学した。

 石巻市飯野川小4年の今野正翔(まさと)君(10)は「笹かまぼこを焼くのが楽しかった。身が分厚いのに硬くなくて、おいしかった」と笑顔だった。

魚のキーホルダー作り

木製キーホルダーにやすりがけをする参加者

<削って磨き、愛着の一品に>

 JR女川駅前のテナント型商店街シーパルピア女川内のまちなか交流館では、魚の形をした木製キーホルダー「onagawa fish」の制作体験をした。

 荒削りした魚形の木材に紙やすりをかけ、表面がつるつるになるように仕上げ、オイルで塗装してホイッスルを取り付けて完成させた。根気の要るやすりがけの工程では、親子で「頑張れ」と声を掛け合っていた。

 石巻市鹿妻小3年の鈴木萌香(もか)さん(8)は「いっぱい削って疲れたけど、つるつるになって良かった。ランドセルに付けたい」と話した。

 キーホルダーは東日本大震災で女川港に魚が揚がらなくなった後、再び魚が取れるようにという願いを込めて「onagawa factory」が製作を始めた。

女川原子力発電所・PRセンター見学

「電力はどのように作られるか」とクイズを出題される参加者

<発電の仕組み 興味津々>

 女川町塚浜の女川原子力発電所では構内をバスで一巡。車内から防潮堤などを見学し、目の前にそびえる海抜29メートル、全長約800メートルという大きさに圧倒されていた。

 女川原子力PRセンターではアテンダントが2分の1スケールで造られた原子炉模型を用いて原子力発電の仕組みを解説。「電気をどのように作っているか」などのクイズが出題され、子どもたちは元気良く手を挙げて答えていた。2024年5月ごろを予定している2号機再稼働までの主なプロセスに関する説明もあった。

 センター内で開催していた東北電力図画コンクール「想像の海の生きものたち」を鑑賞。発想力豊かで個性的な約200点を前に、子どもたちは友人の作品を探したり、好きな作品に投票したりした。

 石巻市蛇田小1年の菊池望夢(のぞむ)君(7)は「電気をつくるのに、とても多くの時間がかかるのが分かった」と話した。

来年5月ごろに2号機の再稼働を予定する女川原子力発電所(東北電力提供)

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