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復興事業完結、支援に感謝 石巻市が式典 新たなまち創生誓う

約600人が参加した式典

 石巻市は9日、東日本大震災の「復興事業完結記念イベント」を同市開成の市複合文化施設(マルホンまきあーとテラス)で開いた。支援を受けた国や県、全国の自治体関係者らに感謝を伝えるとともに、新たなまちづくりへ向けての決意を改めて示した。

 式典には各省庁や企業の関係者、全国からの元応援職員、市民ら計約600人が出席。震災の犠牲者に黙とうをささげた。斎藤正美市長は式辞で「国内外が変化と課題に直面する中、市民一丸となって多くの壁を乗り越えていくことが、言葉に尽くせない支援を賜った市民の責務であり、心からの謝意になる」と決意を述べた。

 復興の歩みをまとめた映像を上映したほか、「復興支援への感謝と未来」をテーマにした有識者や市民代表らによるパネル討論もああった。

 屋外にはキッチンカーや物販ブースなど50店以上が並び、多くの来場者でにぎわった。復興事業で整備した施設や道路を巡るバスも運行。式典出席者や市民らが乗車し、震災遺構「門脇小」や市道渡波稲井線などを車窓から見学した。

 2018年から3年間応援職員として市に勤務した、三重県菰野町職員の森雄司さん(49)は「初めて石巻に来た時はまだがれきが残った状態だったが、今は新しい橋ができ、街もきれいになった」と話した。

 イベントは、復興交付金など国の復興財源を活用したハード事業が22年度で完了したことから企画した。他の財源を使った下水道整備や都市計画道路七窪蛇田線などの工事は続いている。

「完結」に疑問の声も

 「祝・復興事業完結記念」と銘打った9日のイベント名には、市民から疑問の声も上がった。

 石巻市立町の60代自営業男性は「まだまだ困っている人、苦しんでいる人がたくさんいる。お祭りのようなイベントが必要なのか。市民感情をもう少し考えてほしい」と苦言を呈す。

 北上地区で8日にあった市長と住民の意見交換会「動く市長室」では、イベントをPRした斎藤正美市長に対し、参加者が「復興事業が完結したというが、完成後のメンテナンスもしっかりしてほしい」と求めた。

 斎藤市長は9日に市防災センターであった市環境審議会のあいさつでイベントに触れ「市民から、復興は完結していないだろうというおしかりの投書も随分あるようだ」と、批判があることを認めつつ、国の復興財源を活用したハード事業の終了をもって「完結」と位置づけたと説明。「国、県のほか各自治体から派遣職員としてきて一生懸命頑張ってくれた方たちに感謝を伝え、心の復興を含め、なお一層取り組んでいく契機にしたい」と思いを語った。

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