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給食に栄養豊富な藻を イービス研究所、石巻市教委と協力 食糧危機考える機会に

給食に使用されるナンノクロロプシスのパウダー
ナンノクロロプシスを培養している研究所

 栄養豊富な微細藻類「ナンノクロロプシス」を生産・販売する石巻市十八成浜のイービス藻類産業研究所は14日から、市教委と協力し、粉末状のナンノクロロプシスを取り入れた学校給食を市内の全小中学校で提供する。藻類の食材を通して未来の食糧危機について考え、地元の産業にも理解を深めてもらおうと初めて企画した。

 ナンノクロロプシスはタンパク質が豊富で、アミノ酸やミネラルなどの栄養素も多く含む。海水を使って培養プールで栽培するため、畜産に比べて必要な水資源と土地が少ない。世界的に人口増加が進む中、研究所はコオロギや大豆に並ぶタンパク質の栄養源となることを目指し、培養・研究を進めている。

 給食は29日までに全小中学校で1回ずつ提供する。地元名産の笹かまぼこの衣にナンノクロロプシスのパウダーを加えて揚げたり焼いたりするメニューで、子どもたちが食べやすい料理に工夫した。提供日は給食センターごとで、14日は住吉センター、15日は東センターの小学校と河北センター、27日は河南センター、29日は東センターの中学校でメニューに入る。

 6月には寺井良治社長の母校である静岡県袋井市の小学校で給食を提供し、児童らに好評だったという。仙台事務所の後藤博史所長は「次世代の気軽な栄養補給の手段として知ってほしい。藻を取り入れた料理を今から食べることで、藻を食べる習慣をつけてくれれば」と語った。

 ナンノクロロプシスは食用のほか、海産物の養殖や養鶏の飼料などにも活用されている。十八成浜の培養施設は約1万平方メートルの敷地に藻類の培養プールを七つ備え、現在は粉末換算で年間約3トンを培養できる。2013年に同市のベンチャー企業「スメーブジャパン」が整備し、18年に設立した研究所が事業を引き継いだ。

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