いしのまき食探見 > カキ 生も焼きも風味豊かに
海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。
カ キ
ぷりっと、つるっと、海の幸。石巻湾で収穫されたカキの出荷が始まり、食卓の主役になりつつある。
県漁協石巻湾支所によると、今年は約250台のいかだで養殖され、1台から取れるカキはむき身で約1トン。石巻湾は北上川河口から運ばれるプランクトンと海のプランクトンが集まり、カキの成長に適している。定期的に大腸菌や貝毒などの検査を行い、安全のため万全を期している。
今年の出荷は夏季の高水温と、雨が少なく川から流れてくるミネラル分に乏しく、1カ月ほど遅れた。同支所の丹野芳宏(よしひろ)カキ部会長(59)は「殻が十分に成長できなかったものの身入りは良く、カキの濃厚な甘さ、うまみが凝縮された」と話した。
食べ方は幅広い。新鮮な生ガキはもちろん、蒸し焼きやフライ、チーズリゾットなど和洋どちらでも味わえる。カキ部会女性部の佐藤慶子部長がおいしい食べ方のポイントを教えてくれた。
殻付きなら「焼きガキ」、むき身は「天ぷら」がお薦め。焼きガキは少し貝の口が開いて身が顔をのぞかせると食べごろ。何も付けずに海水の塩味で食べる。天ぷらはタマネギ、パプリカ、キュウリ、トマトを刻んでチリソースとあえて一晩寝かせたジュエリーソースをかけるのも一興。家庭でもカキ本来の豊かな風味を楽しめる。
丹野さんは「今のカキは生で食べるのにちょうど良い。ぷりっとした食感とおいしさを味わってほしい」とPRする。
23日には石巻市中央2丁目の市かわまち交流広場で「かき祭り」が開かれる。(渋谷和香)
<メモ>
8月頃にホタテの殻を連ねていかだで沖に入れると、カキの稚貝がホタテに定着し育ち始める。湾内で潮の満ち引きを利用し、わざと乾燥させることで過酷な環境での成長を促す。これによりカキが丈夫に育つ。この方法は全国各地で行われているが、初めて導入したのは石巻湾とされている。
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