震災記憶継承のかたち、芸術家ら語り合う 石巻で実践者座談会
東日本大震災の記憶の継承について考える座談会と展示会「次世代への記憶継承のかたち」(遠足プロジェクト実行委員会主催)が4日、石巻市真野の「DAIS(ダイス)石巻」で開かれた。
座談会はいずれも石巻地方で活動するアーティストのちばふみ枝さんと石巻アートプロジェクト実行委員会の志村春海さん、一般社団法人Smart Supply Visionの清水葉月さんの3人が、それぞれの体験や思いを語った。
ちばさんは被災した実家を片付ける様子が撮影されたドキュメンタリー映像や、捨てられずにいた家財道具を写真で残す活動を紹介。家をオープンスペースとして公開したことも振り返り「映像や写真に残すことで物を捨てやすくなった。家を見て記憶として持ち帰ってもらうことが、自分の重荷も持ってもらえたようで気持ちが楽になった」と話した。
志村さんは2016年にUターンし、石巻市を舞台にした総合芸術祭「リボーンアート・フェスティバル」の運営に携わる。「他県の人に震災のことをどう伝えたらいいかいつも悩む」と話し、「大変な経験をした人だけが話すというものでもない。どんな目線の記憶、体験もリアルで大事。その人にとってのリアリティーが伝わっていけばいい」と語った。
震災当時高校2年生だった清水さんは、東京電力福島第1原発事故の影響で福島県浪江町から千葉県に避難した。避難先では、教師が間に入り、初めてクラスメートに震災の体験を話せたという。現在は震災当時子どもだった人の声を発信する活動に取り組む。「安心して語れる場で、いろいろな他者がいて語り合うことで、自分と他者を知り、違いを超えた何かが見つかると思う」と話した。
会場には支援物資だったランドセルを生かしたアート作品が展示され、食事会なども行われた。
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