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街づくりに市民参加を 石巻専修大と市、研究報告 人口減への対抗策提案

石巻市の深刻な人口減の予測が示されたシンポジウム

 石巻市の将来像を考えるシンポジウムが14日、同市開成の市複合文化施設(マルホンまきあーとテラス)であり、石巻専修大共創研究センターと同市との共同研究スタッフが成果を報告した。テーマは「縮小する地方都市」。深刻な人口減の見通しを示し、街づくりに市民が参加する必要性を強調した。

 同大経営学部の浅沼大樹教授は国立社会保障・人口問題研究所の人口将来推計を基に、日本の総人口について「2004年をピークに減り続け、今後30~40年で約3000万人減少する」と話した。

 市の人口は23年の13万6822人が55年に8万4544人(15年推計)となり、約5万3000人減ると予測し「渡波・蛇田・河南が丸ごと消える計算になる」と例えた。

 大学側からは高齢者の割合を示す高齢化率が45年に4割を超えるという見通しも示された。高齢者の徒歩圏に駅や病院を集約するなど、高齢者に優しい街づくりが課題に挙げられた。

 人口減への対抗策として、市は交付金を使ってコンパクトな市街地を形成する「立地適正化計画」を策定中。市都市計画課の橋本丈史さんはJR石巻駅前周辺の中心市街地と住宅・商業施設が集まる蛇田地区を拠点に各支所周辺も含めて多極型のコンパクトシティーを整備し、ネットワークで結ぶ構想が基本となることを明らかにした。

 理工学部の横山光広教授は拠点間の移動と日常生活圏で交通手段を乗り換える考えを紹介。「街中の暮らしには、自動運転ゴーカートのような低速なモビリティー(移動手段)が合っている」と提案した。

 浅沼教授は市民が街に誇りと愛着を持つ「シビック・プライド」を説明。「一人一人の市民が自分たちの生活圏の将来像を考える。街は、こうした考えが積み重なって『成っていく』ものであり、行政が『造る』ものではない」と市民参加の必要性を強調した。

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