特集＞蛇田小・創立150周年　やり抜く力、思いやり育む

　石巻市蛇田小（児童７３１人）は創立１５０周年を迎えた。１８７３（明治６）年の開校以来、市西部の拠点校として教育活動を展開し、児童の健やかな成長を支える。東日本大震災後、新市街地に被災者の防災集団移転団地が整備され、児童の増加が著しい。発展する蛇田地区のシンボル校は、変化の激しい時代に対応し、地域や次代を担う人材の育成を目指し、新たな歴史を築いていく。

　大規模校の蛇田小は「明日も行きたくなる学校」を目指し、児童に学ぶ楽しさを実感させるとともに、自己肯定感や自己有用感を大切にした学級づくりを進める。

　各学年４クラス、特別支援を合わせて計２７クラスあり、活気に満ちた学びやだ。昨今、子どものコミュニケーション力の低下が指摘される中、蛇田小の児童は普段の学校生活や集団活動の中で多くの人と関わり、多様な学びを体験できる。

　社会の縮図と言われる学校で、人間関係やルール、倫理観などを学び、生きる力の基盤となる社会性が育まれている。

　蛇田小には、生活と学習の目標を網羅した、子どもたちの成長に欠かせない生活指標「へびたの子」がある。校名をもじった五つの指標で、朝会と集会の前に唱和する。

　へ…「返事は大きく、元気に挨拶（あいさつ）」（あいさつ）　
　び…「びっくりしたよ、君の考えすてきだね」（他の人を認める）　
　た…「楽しい学校、みんなで協力、思いやり」（思いやり、協力）　
　の…「望みは大きく、めあてをもって最後まで」（志）　
　子…「子どもたち、命は一つ、大切に」（安全）　

　教員の継続的な指導で五つの指標は児童に浸透し、相手を認め尊重する共感的な人間関係や思いやりの気持ちが育まれている。志を持ち、やり抜く力やかけがえのない命を大切にする意識も育っている。

　校内や地域からいじめをなくすため、児童会が中心となって啓発活動を展開する。本年度は９月に朝の放送でいじめ防止を働きかけた。

　授業は「協働的な学び」を推進し、グループで話し合って学べる場面を多くし、児童の学習意欲を高めている。

　総合学習にも力を入れる。３年生は車いすや手話のキャップハンディ体験や盲導犬の役割を学ぶ。４年生は学区内の危険箇所を調べて防災マップを作成する。５年生はいしのまき農協青年部のサポートで田植え、稲刈りを体験。６年生は未来の石巻をどういう街にしたいか考え、グループで発表する。

　６年生１２６人が演奏する鼓笛隊は市内で最大規模だ。今年は５月の運動会、８月６日にあった石巻川開き祭りの鼓笛隊パレードで堂々とした演奏を披露した。

　蛇田小は１８７３年６月に開校した。卒業生は１万人を超え、進学先や各界で活躍する。青木敏彦校長は「児童一人一人の個性を伸ばし、豊かな学びを体験できる魅力ある学校、次代を見据えた創造的な学校づくりを進め、将来的に社会に貢献できる人材を育成したい」と語る。

＜節目を祝いリーフレット＞

　１５０周年記念事業では、蛇田小の魅力を紹介したリーフレットを１５００部作成するほか、記念のエコバッグを全児童に配布する。

　

青木敏彦校長、「明日も行きたい学校」目指す

　本校は、１８７３年６月、蛇田地区上中埣の東雲寺さんを仮校舎として開校し、今年創立１５０周年を迎えました。

　本年度は２７学級、７３１人が在籍し、校庭や校舎の前庭で子どもたちが元気よく遊ぶ、活気に満ちあふれた学校です。２０２２年度にはコミュニティ・スクールに移行し、地域の皆さまと連携・協働しながら教育活動を行っています。

　これからも教職員のチーム力、マンパワーを生かし、保護者の皆さま、地域の皆さまと力を合わせて子どもたちが豊かに学べる環境づくりと「明日も行きたくなる学校づくり」を進めてまいります。

　今後も皆さまのご支援をよろしくお願い申し上げます。

　

蛇田小の歩み

１８７３年６月　東雲寺を仮校舎に第７大学区第８３番蛇田小学校と称し開校
１９３６年11月　木造校舎新築
　　４０年４月　校旗制定
　　４２年７月　校歌制定
　　４８年４月　蛇田小学校父母教師会発足
　　５５年１月　石巻市立蛇田小学校と改称
　　６６年１月　完全給食実施
　　６７年７月　水泳プール完成
　　７２年４月　向陽小分離独立
　　７３年６月　開校１００周年記念式典
　　７８年９月　ＮＨＫ全国学校音楽コンクール県大会優秀賞
　　８１年６月　新校舎落成、旧校舎解体
　　８４年９月　県民体育大会男子４００メートルリレー優勝
　　８９年12月　鼓笛隊発足、学校歩道橋落成
　　９４年５月　開校１２０周年記念式典
　　９９年11月　ソニー教育振興財団より「優良校」受賞
２００５年10月　第１回「ふれあい文化祭」開催
　　１１年３月　東日本大震災で避難所設置
　　１７年３月　新体育館完成
　　１９年１月　特別教室棟完成
　　２１年４月　１人１台タブレット端末貸与
　　２２年４月　コミュニティ・スクール開始