日本語学校開設の可否判断、2025年度以降に 運営費など課題 「早期」から慎重姿勢へ 石巻市
日本語学校の開設を目指す石巻市は、開設可否の判断を2025年度以降に先送りする方針を決めた。候補地に10月末、旧門脇中を選定。費用を試算した結果、運営費が年間約8000万円に上ることなどを踏まえた。25年4月の開校を予定する大崎市の運営状況や財政負担を参考にして決定する考えで、早期開設を掲げていた市が慎重姿勢に転じた格好だ。
市は開設候補地の選定に向け、8月に関係部署や外部アドバイザーら計10人による会議を設置。空き校舎や保育所など21施設の中から旧門脇中を選んだ。JR石巻駅から徒歩圏内で利便性が高いほか、改修費が抑えられることや近隣に小中高校があり国際交流が期待できることなどを評価した。
計画によると、定員は60人で就学期間は1年。旧校舎を改修し教室のほか図書室や多目的室、イスラム教徒の学生に配慮した礼拝室などを整備する。石巻駅周辺に、既存の宿泊施設やアパートなどを活用した民間の学生寮も設ける。
費用を見積もった結果、市が負担する改修費や備品購入費など初期費用として約1億円、教職員の人件費を含む運営費は年間約8300万円見込まれることが分かった。
市は特に財政負担を課題とする。開設を後押しする県の財政支援の規模や、教員資格などを定めて来年度に施行される日本語学校の関連改正法の影響も不透明だという。校舎改修や国への申請手続きを踏まえると開設は最短でも27年度以降となることもあり、大崎市の運営状況を確認してから慎重に判断することに決めた。
市は人口減少が続く地域に幅広い人材を呼び込み、活性化や国際化を図ろうと、22年11月に日本語学校設置推進室を設けた。斎藤正美市長は今年の市議会6月定例会一般質問で「可能な限り早期に進めたい」と答弁するなど意欲を示してきた。
ベテラン市議は「(運営費に)年間8000万円をかけるメリットがあるのかを考えれば、判断の先送りは賢明な選択だ」と受け止める。開設に慎重姿勢の市議からは「初めから考えが甘かったのでは。このまま計画自体が立ち消えになるのではないか」と冷ややかな声も上がっている。
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