いしのまき食探見 > イチゴ 甘さ、酸味調和した果実
海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。
イチゴ
甘さと酸味が調和した、みずみずしいイチゴ。石巻地方のビニールハウスでは11月中旬、収穫が始まった。いしのまき農協によると、管内はみやぎ亘理農協管内に次いで県内2位の生産量を誇る。
いしのまき農協管内の生産者は41軒。多く作られている品種は「とちおとめ」と「紅ほっぺ」の2種で、2024年産(11月~来年6月)の作付面積はそれぞれ50ヘクタールに及ぶ。
東松島市赤井、大曲両地区の農家6軒が加入する「やもといちご生産組合」は、昨年は約1.5ヘクタールで90トンを収穫した。同組合のイチゴは仙台市場、秋田市場に出荷され、県内では仙台市の果物店「いたがき」で購入できる。阿部良之組合長(48)は「選果場で生産者同士が互いに傷などを丁寧に確認してから出荷している」と話す。
日照時間や光合成に必要な二酸化炭素の濃度などをデータで管理し、安定した品質で提供している。天候や気温とともに、受粉のタイミングや花粉の付き方もイチゴの形に大きく関わるという。ビニールハウス内にはミツバチ、マルハナバチなどの巣箱を置く。
イチゴは手で触れると傷みやすいため、パックのまま冷蔵保存することを推奨する。食べる時は常温にすると甘みを感じやすい。色味が濃くつやがあり、ヘタが反っているものがおいしいイチゴを見分けるこつだという。
イチゴは生クリームとも相性が良く、ケーキを華やかに彩る。石巻市恵み野4丁目の洋菓子店「ムッシュ・マスノ アルパジョン石巻総本店」のバースデーケーキでは、イチゴをふんだんに使った「苺いっぱい苺のバースデー」が1番人気だ。
鈴木貴行店長は「ケーキにとってイチゴは一番欠かせない存在。身近な農家から仕入れることで、鮮度がいい状態で提供できている」と語った。
<メモ>
いしのまき農協管内には矢本、石巻、河南の3地区にイチゴの組合・部会がある。「とちおとめ」「紅ほっぺ」に次ぐ作付面積は、県オリジナル品種「もういっこ」の10ヘクタール。収穫は11月中旬から始まり、翌年6月初旬まで続く。
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