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サツマイモで島おこし 「ふるさと小包」に採用、全国へ 網地島の耕作放棄地活用

熟成したサツマイモを箱詰めする高橋さん(右)と雅恵さん
網地島産サツマイモのふるさと小包をPRする高橋さん(左)。右は郵便局の高橋秀一郎局長

 石巻市清水町1丁目で花店を営む高橋聖公さん(58)が、同市の離島・網地島の耕作放棄地を活用しサツマイモ栽培に取り組んでいる。2年目の今年は日本郵便が手がける「ふるさと小包」にも採用され、全国に届けられる。約30年前から花の行商で島に通う高橋さんは「お世話になってきた恩返しをしたい」と、サツマイモを活用した島おこしに意欲を燃やす。

 高橋さんは本業の傍ら2021年から島の耕作放棄地を借り受けて土地を耕し、茨城県ひたちなか市の農家に通って一からサツマイモ作りを学んだ。22年に栽培を始め、空き家を借りて妻の雅恵さん(54)と毎月3分の1ほどを島で過ごす。2年目の今年は面積を倍の約6000平方メートルに増やし、紅はるかなど3種類、計約6トンを収穫した。

 潮風を浴びて育った島のサツマイモは、糖度が高いのが特長。温度管理をした貯蔵庫で1カ月以上熟成し、さらに甘みを引き出している。

 昨年から花店の隣に季節限定で焼き芋店を開いて販売しているほか、今年は干し芋や冷凍焼き芋としても売り出す。網地島産品として初めて、郵便局のふるさと小包にも採用された。

 高橋さんは「たくさんの人に網地島のサツマイモのおいしさを知ってほしい」と話す。

 島との出合いは約30年前。生花店を創業したばかりで経営が不安定だった頃、知り合いだった島の女性が行商を提案してくれた。毎月通ううちに顧客が増え、ピーク時にはお得意先約140軒を回るまでになった。以来、月1回の行商を続けてきた。

 「高齢化が進む島のため、何かできないかと感じていた」という高橋さん。将来的に娘夫婦へ花店を任せることが決まり、以前からおいしいと感じていた島のサツマイモ栽培に挑戦することにした。

 取り組みを島民たちも応援する。網地島郵便局長の高橋秀一郎さん(64)は「島を豊かにしたいと頑張ってくれている」と期待を寄せる。

 栽培面積は、採算ラインの約1万平方メートルまで広げる計画。サツマイモや島の郷土料理を提供する食堂、民泊施設の整備といった夢も描く。

 高橋聖公さんは「サツマイモが、網地島が注目されるきっかけになればいい。いずれは新しい産業や雇用を生み、島を盛り上げたい」と力を込める。

 ふるさと小包は郵便局やオンラインなどで11日から申し込みを受け付ける。紅はるか5キロ3800円。焼き芋は「フローリスト・クラウン」(石巻市清水町1丁目)隣で販売しており、予約が確実。不定休。連絡先はクラウン0225(22)6556。
(奥山優紀)

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