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寄生虫いないサバ目指す 宮城水産高、陸上で完全養殖研究 採卵適期、8月と特定

畜養したサバを調理する生徒たち

 宮城水産高(生徒242人)で昨年から、サバの完全陸上養殖を目指した研究が進んでいる。食中毒を引き起こす寄生虫アニサキスがなく生食可能にすることで、地元ブランドの金華さばに付加価値を付けるのが目標。ここまで、採卵適期が8月と特定することができた。県水産業基盤整備課と県漁協によると、県内ではサバの海面養殖や陸上養殖は行われておらず、今後の進展に注目が集まっている。

 アニサキスは成虫がクジラなどに寄生し、ふんとして排出された卵が海中でふ化。幼虫がオキアミなどに摂取され、クジラなどの餌となる他の魚介類に寄生していく。

 石巻市渡波にある宮城水産高の栽培漁業実習場では、生物環境類型の生徒がサバの人工採苗と成育の実験を進めている。水槽内の海水をろ過して使う閉鎖循環システムを導入し、餌はギンザケと同じ配合飼料を使用。アニサキスに触れない環境をつくることで、生食できるサバの成育につなげられるという。

 同校によるとサバは育成期間が10カ月、出荷サイズは500グラム程度からと、養殖のマグロやマダイに比べて短く出荷サイズも小さいのが特徴。

 同市の杉山水産から300~400グラムのサバ約200匹を購入し、採卵用に半年間で800グラム程度まで育てた。水温や成熟具合を見つつ100匹を6月下旬から6回に分けて採卵し、人工授精させた。水温の高さが影響しふ化に至らなかったが、採卵は8月が最も適していると分かった。

 成育実験も合わせて行い、生徒が釣った100グラム程度のサバも飼育していたが、猛暑の影響で水温が上がり8月に全て死んでしまったという。

 5日には生徒20人が育てたサバの一部を試食した。調理類型の及川真清教諭が調理したしゃぶしゃぶと棒ずしを味わった。

 研究を進めてきた3年の三川悠斗さん(18)は「脂が乗っていておいしい。猛暑の影響で育てていたサバが死んでしまったのがショックだった。アニサキスがいないサバの養殖を目指し、後輩たちが安定した生産につなげてくれればうれしい」と期待した。

 生物環境類型の阿部洋平教諭は「採卵時期が特定できたのが本年度の成果。地元の水産業者と連携したり、調理類型やフードビジネス類型と協力し料理や加工品の生産にもつながったりしていけば面白い」と話した。

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