2023ニュース回顧 取材ノートから > コロナ5類移行 行事次々復活、日常戻る
<4年ぶり活気、肌で実感>
長い長いトンネルを抜けたようだった。終わりの見えない苦しみが解け、光が差した。
5月、列島を覆った新型コロナウイルス禍に一区切りがついた。新型コロナ感染症の位置付けが、インフルエンザなどと同じ5類になった。石巻地方では多くのイベントが復活し、紙面に何度も「4年ぶり」という見出しが躍った。
記者は今年から石巻市に住み、去年までの石巻地方をよく知らない。しかし、多くの取材を通じ、戻ってきた街の活気を肌で感じてきた。
例えば、約1万5000人が訪れた10月の港湾感謝祭。制服の試着コーナーやグッズ販売のテントが並び、かき氷やたこ焼きなどのキッチンカーもずらりと軒を連ねた。チアリーディングなどのパフォーマンスを見る人垣が通路をふさぎ、写真撮影に一苦労した。
海上自衛隊の掃海艦「ひらど」と、宮城海上保安部の巡視船「まつしま」の見学を待つ列は、最後尾が見えないほど。石巻海上保安署によると「まつしま」は約1000人が見学し、最大で1時間待ちだったという。角直樹署長(54)は「東北の各保安部で港のイベントを経験したが、1番人が多かった」と驚いた。
開催を制限されていた学校行事も次々復活。代替試合を行っていた石巻高と石巻商高の硬式野球定期戦も6月、晴れて再開した。
会場には応援団のほか、両校の生徒や保護者、卒業生など数百人が詰めかけた。去年まで制限された声出し応援も解禁され、会場は演奏と声援であふれた。かけがえのない青春時代をコロナ下で迎えた高校球児たち。応援を背にした力強いプレーに胸が熱くなった。
感染拡大による緊急事態宣言が出されたのは3年前。多くのイベントが中止や自粛に追い込まれ、その後もまん延防止等重点措置などで自粛ムードは続いた。
コロナ禍の爪跡は深い。石巻商高の応援団は、以前から縮小傾向にあった応援練習がコロナ禍で完全になくなったことで、廃団となった。今年の復活定期戦は有志による応援だった。
「コロナ前に戻る」ことは難しいが、一つずつ確実に日常は戻ってきている。来年はきっと、今年よりも活気に満ちあふれた年になるだろう。(石井季実穂)
■メモ
厚生労働省によると、感染症は法律上、感染力や重篤性などから1~5類に分類。新型コロナウイルス感染症は5月8日、2類から5類に移行された。これにより、陽性者や濃厚接触者に求められてきた外出制限など、行政からの要請や関与はなくなった。
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